相模原・産廃埋設で中断の区画整理 処理負担の新方法検討

相模原市施工の「麻溝台・新磯野第1整備地区土地区画整理事業」用地の地中から掘り出された産業廃棄物=2021年5月、同市南区

 地中から大量の産業廃棄物が見つかり、3年近く中断している相模原市の土地区画整理事業を巡り、市は事業継続を視野に計画の見直しを行っている。最大の課題は産廃処理の負担の在り方だ。従来の方針は「処理費は地権者負担」としているが、想定以上の産廃の発出で処理費が膨れ上がり、一部の地権者が所有地を失う恐れもあることから、市は新たな負担方法を検討している。

 事業は、市が2017年1月に着工した南区の「麻溝台・新磯野第1整備地区土地区画整理事業」。地権者に土地を少しずつ提供(減歩)してもらい、市が一部(保留地)を売却して事業資金に充てるなどして土地を区画し、道路・公園などの都市基盤を整備。地権者は新たに割り当てられた土地(換地)に所有権などを持つ手法で進められていた。

 事態が一転したのは19年3月。事業用地の一部に大量の産廃が埋まっていることが明らかになり、同4月に就任した本村賢太郎市長が工事の中断を決めた。

 問題となっているのは、産廃の処理負担だ。市の方針は地中障害物の処理費は地権者負担とし、負担方法についても「地権者が仮指定された換地を追加減歩する」としている。つまり、産廃が地中から見つかった場合、地権者は処理費相当分の土地を追加で市に差し出す必要があった。

 しかし、大量の産廃が発出したことで、地権者が所有地全てを市に提供しても処理費を賄えないケースがあることが分かった。市幹部は「土地区画整理法上、想定していない事態で負担方法を見直さなければならなかった」と話す。

 市が現在検討しているのは産廃が見つかった場合、処理費相当分を減歩しない代わりに土地の評価を下げて対応する手法で、これにより地権者が土地を失うことはなくなる。市は今年1月以降、地権者に対して個別説明を重ね、土地の低減率についても、今後明らかにするとしている。

© 株式会社神奈川新聞社