新潟駅から吉田駅を経由して、柏崎駅を結ぶ「JR越後線」。
総距離は83・8キロメートルであり、現在は特急・快速などの優等列車は走っておらず、普通列車のみが走ります。
国鉄近郊型直流電車の115系が今も健在に走り、弥彦山や越後平野の景色が美しいローカル路線です。
新潟駅⇄柏崎駅間、全線を通して運行する列車は少なく、弥彦線と接続をする「吉田駅」で運行系統が分離し、運行本数にも大きな差があります。
また、新潟市内中心部を走る、新潟駅⇄内野駅間は日中20分間隔で運行しており、首都圏の路線に勝るほどの運行本数です。
同区間はベッドタウンであり、駅の数も多く、駅の間隔も短いのも特徴であり、都市間輸送はもちろん、新潟大学や沿線の高校へ通学する学生の利用率も高く、上り下りともに混雑をします。
(日本一の大河 信濃川を渡る、115系)
越後線・新潟駅⇄白山駅間は連続立体交差事業に伴い、2018年より全面高架化され、
踏切も撤去されました。
途中、同区間では大河・信濃川を渡りますが、3.1キロメートルと新潟市中心部を走る越後線の中では比較的長い区間であり、マンションや住宅が広がり、県立新潟南高校やユニゾンプラザといった公共施設も立ち並びます。
そのため、新駅設置の要望が長年地元住民から上がっていました。
しかし、新駅設置検討場所の周辺が住宅街であり、駅舎用地の確保やロータリーの整備が課題となっており、現在に至っています。
(新駅「上所駅(仮)」設置予定地)
そして、構想から約30年後、2022年2月7日。
新駅(仮称:上所駅)を設置する協定が、新潟市とJR東日本新潟支社でようやく締結され、沿線住民にとって、悲願のニュースが飛び込んできました。
新駅は、新潟駅から約1.5キロ、白山駅から約1.6キロの、ちょうど中間地点(新潟市中央区下所島付近)。
越後線は全線が基本的に単線ですが、新潟駅⇄白山駅間「信濃川橋りょう」を渡るまでの区間は唯一の複線となっており、この区間に新駅を設置する予定です。
現段階の新駅構想は、無人駅扱い。線路を挟んでホームを置く、2面2線方式、6両編成対応。
新潟方面・吉田方面、それぞれに改札口を設置、簡易Suica改札機や乗車駅証明書発行機も設置されます。
既存の地下通路もリニューアルし、エレベーターも整備。バリアフリーにも対応した駅として開業をするようです。
また、送迎用駐車場やタクシープール、自転車駐輪場の整備も需要に合わせて必要となるでしょう。
総事業費は約27億円。地元の要望を受けて設置される「請願駅」のため、費用は新潟市が全額負担を予定しています。
(既存の地下通路 新駅設置とともにリニューアル予定)
市民の足として、公共交通の利用促進に向けて設置される新駅。
1日あたりの乗降客数見込は、約4600人。開業は、3年から4年後を目指すと発表されました。
開業を見込んでか、駅予定地周辺には数年前から、マンションや大型商業施設が続々と開業しています。
今後はさらに施設が増えて、通勤・通学の利便性向上や周辺の活性化が期待できます。
(3・4年後 新駅が設置されると、このような景色になる?!)
JR東日本新潟支社管内で新駅が開業するのは、同じく越後線の「内野西が丘駅」(新潟市西区)が、2005年に開業した以来。
また、昨年2020年には、えちごトキめき鉄道「えちご押上ひすい海岸駅」(糸魚川市)が開業したのも、記憶に新しいです。
新潟市内には、他にも新駅の構想があります。
・「信越本線 亀田駅⇄荻川駅間」(仮称・江南駅)
・「信越本線・白新線 新潟駅⇄越後石山駅・東新潟駅間」(仮称・上沼垂駅)
などの構想もあり、「上所駅(仮)」の設置決定により、こちらも課題となりそうです。
ここ最近、新駅の愛称は公募で決められる事が多く、「上所駅(仮)」も公募で決定する可能性があります。
2020年3月に開業した、山手線の新駅「高輪ゲートウェイ駅」も公募で決められ、発表時に注目を集めました。
「地元住民に愛され、行ってみたいと思う駅!」 「インパクトのある駅」
これが令和時代、新駅の名称には必要なのかもしれません。
新駅開業の決定により、注目を集めることは確かです。
カタカナや英語が入った名称の駅となるのでしょうか‥?
地元住民として、新潟らしい愛称、新潟らしい新駅として開業する事を、今から楽しみにしています。
開業の頃には、少しでも新型コロナウイルスの感染拡大が落ち着いて、多くの人が訪れる駅となりますように‥。
(隣駅が「白山」では無くなる日が来る)
【著者】GATA_TETSU
首都圏某ターミナル駅で駅係員として、10年間勤務。 窓口で切符の販売や改札業務、管理職へ昇進後は新人指導や後方業務にも携わる。 地元・新潟県へUターン後は、趣味の鉄道と鉄道業界での経歴を活かし、「新潟初!元鉄道マン!~GATA_TETSU~」として活動中。 各種SNSをはじめ、鉄道写真撮影・鉄道講演などを通じ、新潟&鉄道の魅力を発信している。