新型コロナウイルスワクチンの3回目接種を巡り神奈川県内の接種率が伸び悩む中、377万の人口を抱える横浜市はワースト2位となり、県内平均すらも大きく下回った。ただ、自治体ごとに抱える事情はさまざまで、18日に取材に応じた同市の山中竹春市長は「高齢者への接種のめどがたった。(接種率を)アップしていく」と自信をのぞかせた。
同市では、1回目接種の予約開始時に混乱が生じたことを教訓とし、2回目接種の予約に際しては期間を長くとり接種券の発送時期を年代ごとに細分化した。その結果、予約が集中することは回避できたものの、接種間隔の縛りもあって同じように予約期間を長くとらざるを得なくなり、3回目接種の前倒しに即応し切れない状況に陥った。
また、全国最大の基礎自治体ということもあって、政府からの前倒し要請に対応するのにも膨大な作業が必要で、成果が出るのに時間がかかるとしている。
一方で、市は65歳以上の高齢者を対象とした接種の迅速化に注力してきた。約90万人のうち2回目接種から6カ月以上が経過した対象者のほぼ全員に近く、接種券の発送を終える見通しで、今後はかなりのスピードで接種率が上昇していくと見込む。
接種率を巡っては、首相官邸のホームページでも都道府県別や政令指定都市別のデータを公表しており、横浜市は21日公表時点で20政令市中最下位の7.0%。相模原市(13.7%)や川崎市(13.0%)に及ばず、トップの岡山市(21.4%)には大差をつけられている。
18日に取材に応じた山中市長は「自治体間の競争に陥ることなく、市民のために早くワクチン接種を行うことだけを考えている」と冷静に受け止めつつ、「この段階での一覧の公開は市民に不安を与え、混乱を生じさせることになるのでは」と疑問を投げ掛けた。