経済、福祉 新知事に期待 石木ダム反対派は冷ややか

 新たに知事となる大石賢吾氏は、大型事業や福祉などさまざまな県政課題と向き合うことになる。推進や見直しを求める県内の関係者からは期待や注文が上がった。
 県商工会議所連合会の宮脇雅俊会長は、新型コロナウイルス感染拡大の影響で厳しい経営状況にある中小企業への支援強化を要望。「九州新幹線長崎ルートの全線フル規格化をはじめ、魅力あるまちづくりの実現を期待する」とコメントした。
 佐世保商工会議所の金子卓也会頭は「県北全体の発展のためにできることを考え実行を」と求める。カジノを含む統合型リゾート施設(IR)の佐世保市への誘致については「ギャンブル依存症対策など、県と連携して取り組みたい」と述べた。
 医師の大石氏は以前、厚生労働省医系技官を務めていた。被爆者認定を求める被爆体験者の岩永千代子さん(86)は「厚労省にいた経験から、大いに期待する。専門的な知識を生かし、寄り添う姿勢を示してもらいたい」と切望。「県手をつなぐ育成会」の竹内隆伯会長(70)も「新しい知事の柔軟な独自施策で、障害がある人の生活がより良くなってほしい」と期待を込めた。
 一方、県などの石木ダム建設事業の行方は、国の事業採択以降5人目の知事の判断に委ねられる。反対住民との対話に意欲を見せる大石氏に対し、住民の一人、岩下和雄さん(74)は「早期完成を掲げるようでは、話し合いの余地はない」と冷ややか。同じく住民の岩本宏之さん(77)は「歴代知事は常に力ずくで物事を推し進めてきた。50年近くたっても、なぜダムができないのか。よく勉強してから来てほしい」とくぎを刺した。


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