「県産」を育て、広める

 何年か前まで、うちで映画を見るのは「DVDで」、または「地上波や衛星放送で」というのが普通だったろう。最近では映画も、見逃したテレビドラマも、ネットの動画配信サービスで見る人がかなり増えた▲音楽も、主流はCDからスマートフォンで聴く配信サービスに移っている。ひと月に定額を払えば見放題、聴き放題で-。なじみのない横文字で恐縮だが、この定額制はサブスクリプション、略して「サブスク」と呼ばれている▲その波は「食」にも及び、長崎県産の新鮮な魚を各地へ、サブスクで定期的に届ける試みもある。東京の商社と本県の企業が組み、最新の冷凍技術で「さばきたての味」をパックに閉じ込めているという▲本県で水揚げされる魚の種類は全国最多-ということは、さまざまな魚を地元でそろえられる強みがあるのだろう。技術の前進で鮮度を保てるのも心強い▲県外から来た友人が県産の魚を口にして、あまりのおいしさに目を丸くする。そんな様子を何度も見てきた。全国へ、海外へ、県産の味がもっと伝わるといい▲きのうの紙面に「これからは海外にも積極的に魚を売っていく」時代だと、新知事に漁業振興を求める声があった。ほかにも課題は山積みだが、胸を張れる「長崎県産」を育て、広めることは大任の一つに違いない。(徹)

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