今月上旬に発生した火災により、宇都宮市のごみ焼却施設「クリーンパーク茂原」で可燃ごみが焼却できない状態が続いている。市は復旧までの間、市民や事業者にごみの排出量を5割削減するよう協力を呼び掛けているが、具体的にどうすればよいのか戸惑っている人も多いだろう。日頃からごみ減量に取り組んでいる人たちに、アイデアを聞いた。
市ごみ減量課によると、新型コロナウイルス禍により自宅で過ごす時間が増え、資源物を除く家庭ごみ排出量は2020年度、約11万3715トンと19年度より6%も増えた。1人1日当たり600グラムを排出しているという。大掃除や家族が集まる年末年始と、新生活での引っ越しが重なる3、4月はごみが増える傾向にあるが、この春は特に工夫が必要となりそうだ。
焼却ごみの中身を詳しく分析すると、生ごみが3割と最も多かったが、未開封の食品や総菜などいわゆる食品ロスが8.5%もあった。資源に回せる紙類とプラスチック製容器もそれぞれ1割程度あった。
同課3R推進グループの岡川秀則(おかがわひでのり)係長は「食品ロスを減らし資源化できるものを分別すれば、すぐにごみを減らせる」と説明する。
市が勧めるポイントは(1)量を減らす(2)生ごみの水分を減らす(3)資源物の分別(4)食品ロスの削減。生ごみやおむつ、マスクといった衛生上影響のあるごみは一つにまとめ、空気を抜くなどして小さくする。新生活に向けて断捨離したくなる時期だが、不要不急の不燃ごみ・粗大ごみ、剪定(せんてい)した枝や衣類・布類の排出は控える。まだ使えそうな家具や衣類は、リサイクルショップやフリーマーケットアプリに出品してもよい。
生ごみの8割は水分のため、しっかり水を切ったり乾燥させたりすることでかさや重さを減らせる。市は家庭用生ごみ処理機の購入費補助も行っているので、園芸を楽しみつつ堆肥作りに取り組むのも手だ。
意外と盲点なのは資源物の分別。紙類は、新聞紙や段ボール以外にも、食品が入っていた箱やメモ用紙、箸袋、トイレットペーパーやラップの芯、ティッシュ箱などは資源物に回せる。ごみ箱近くに紙袋を用意し、たまったらそのまま出せる。詰め替え洗剤や納豆・総菜のパック、菓子袋といったプラスチック製容器も「軽くすすいだり拭いたりすれば汚れが落ちやすくなっている」と岡川係長。ボトル類は軽くすすぎ、食品の入った容器はティッシュなどで拭く。
必要以上に食品を買いすぎると、賞味・消費期限内に食べきれず廃棄するケースが多い。買い物前に冷蔵庫や食品庫の中をチェックしてリストを作ったり、冷蔵庫内をスマートフォンで撮影したりして必要なものだけを購入。料理は食べる分だけ作り、食材は食べ切る量を買うよう心掛ける。
いきなり“5割削減”と聞くと驚いてしまうが、何げなく捨てている物を分別したり、食品ロスをなくしたりすれば上手にごみは減らせそうだ。岡川係長は「一人一人が小さな努力を積み重ね、ごみ減量に協力してほしい」と訴えている。
■野菜くず コンポストへ
県内で活動する整理収納のプロに、ごみを減らすこつを教えてもらった。
宇都宮市在住の整理収納コンサルタント堀中里香(ほりなかりか)さんは、野菜くずをコンポストに入れて堆肥化したことで、以前に比べ可燃ごみが半分以下に。コンポストはシンク下に置けるサイズで、内ぶたが付いているので臭いなども気にならないという。
野菜をよく洗って皮付きのまま調理する、残ってもアレンジできるようなおかずを作る、といった工夫も普段から心掛けている。「プラスチック容器と雑紙を分別する、プラスチック容器を細かく刻んだり水を切った生ごみを新聞で包んだりしてかさを減らすなど、ちょっとしたアイデアでごみを減らせる」と堀中さん。
2児の母でもある芳賀町在住の整理収納アドバイザーyaiさんは、日頃から洗剤などの詰め替えは大容量サイズを購入。事前に献立を決めて買い出しリストを作り、衝動買いを抑えるほか、繰り返し使えるシリコンラップやふたを使うことなどを実践している。「子育て家庭にとって使い捨て食器は便利だけど、マイボトルやマイ箸を持参するようしている」と話した。