DeNA投手陣復活のカギは? 五十嵐亮太氏が読む守護神争い「抑えをどうするか」

DeNAのエドウィン・エスコバー、山崎康晃、三嶋一輝(左から)【写真:荒川祐史】

昨季は12球団ワーストのチーム防御率4.15を記録

昨季は6年ぶりに無念のリーグ最下位に終わったDeNA。就任2年目を迎える三浦大輔監督は、1998年にともに日本一を経験した盟友たちを新コーチとして迎え、勝てるチーム作りに大きく動いた。その中でも重点的に取り組んだのが、投手陣を巡る環境整備だ。

DeNAは昨季、チーム打率は12球団で2位(.258)、長打率は12球団で唯一4割を超える(.402)という好成績だった。その一方、チーム防御率は12球団で唯一の4点台(4.15)と落ち込み、投手陣の立て直しが最重要課題であることは明らかだった。そこでチームは球団OBでメジャー経験を持つ斎藤隆氏をチーフ投手コーチに、三浦監督と斎藤コーチの恩師でもあるコーチ歴40年以上を誇る大ベテラン、小谷正勝氏をコーチングアドバイザーに招聘した。

大きく変わろうとするDeNAの取り組みを確かめに、沖縄・宜野湾キャンプへ足を運んだのは、ヤクルトやソフトバンク、メジャーなどで活躍した五十嵐亮太氏だ。山崎康晃らがブルペンで投げ込む姿を見届けた五十嵐氏は、今年のキーマンに「今永(昇太)、山崎、三嶋(一輝)だと思いますね」と軸となるべき3人の名前を挙げた。

エース左腕の今永は2020年10月に肩のクリーニング手術を受けた影響で、昨季は5月下旬から先発ローテに復帰。19先発で5勝5敗、防御率3.08の成績だったが、決して本調子だったとは言えない。左前腕の炎症で18日から2軍の嘉手納キャンプに合流となったが、エース左腕の復活は不可欠と五十嵐氏は見ているようだ。

「今永がいるといないとでは全然違う。先発陣はやはり彼を中心に組み立てるわけですから。今永が先発陣を勢いづけることで、リリーフはもちろん攻撃面も変わってくると思います。成績だけではなく、野球への取り組みであったり考え方という面で、プラス・アルファの影響力を持つ選手だと思います」

これまでオーストラリアでのウインターリーグに参加したり、米国のドライブラインベースボールでトレーニングを行ったり、様々な挑戦を続けてきた。左腕について、五十嵐氏は「ある程度のリスクを負いながらも、いろいいろなことに挑戦するのは大事なこと。そういう感覚を持った選手なんでしょうね」と高く評価する。

リリーフ陣のキーマンは三嶋&山崎「9回をどちらに任せるか」

リリーフ陣のキーマンに挙げたのは、守護神の座を争う三嶋と山崎だ。「9回をどちらに任せるのか。そして7回をどうするのか。この辺りがポイントとなりそうです」と続ける。

「いろいろなシチュエーションに対応できるエスコバーは、おそらく8回で使いたいのではないかと思います。となると、抑えをどうするのか。三嶋が有力でしょうが、山崎も抑えをやりたい気持ちは強いはず。キャンプでもフォームや体の使い方に頭を悩ませながらも、9回に投げることを目指しながらやっているようでした。ただ、8回のエスコバーを中心に役割がしっかり固定できたら、かなりいい戦力になると思います」

DeNA投手陣の柱となるベテラン格の3人だが、開幕時に三嶋が31歳、山崎が29歳、今永が28歳と一般的に見れば中堅どころ。五十嵐氏は「チームが比較的若いのでベテラン感が漂いますが、3人ともまだまだ伸びしろはあるし、3人以外にも急成長が期待される投手は多いので楽しみですね」と期待する。

「攻撃はある程度計算できる中での投手陣の整備。軸となるべき3人がそれぞれの役割を果たし、怪我なくシーズンを投げ抜くことがチームにとっても、それぞれの選手にとっても大事なことですね」

チームスローガン「横浜反撃」のカギを握る3投手が開幕後にどのような活躍を見せるのか、注目していきたい。(佐藤直子 / Naoko Sato)

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