20、30代でも老後資金が不安は8割以上、現状を抜け出すために若いときは節約以外も考えるべき?

20代・30代の人でも「老後資金」が不安だと思っている人が8割以上います。

いまの20代とか30代の人は、まだ所得が低くてあまり貯蓄もできない。さらに将来においてもそれほど給与が上がると思えない人が多いので、余計に老後資金が心配になるのかも知れません。

このままいくと、それほど貯蓄ができなくて、年金の金額も少なく老後の生活が厳しくなるのかなという漠然とした不安かも知れません。

では、どうすればいいのか?と言うので、FP(ファイナンシャルプランナー)の答えでよくあるのが、「iDeCo(イデコ)」や「つみたてNISA」の利用です。これは間違いではありません。とても大切なことで税制優遇もあるので老後資金を作るのにももっとも適しています。でも私は、もっとよい方法があるのではと考えています。

今回は、老後の生活をよくする若い人の切り札を解説しましょう。


節約をして貯蓄は正しい!でも現状維持が続く?

20代・30代の老後資金を貯める記事や本を読むと、節約をしてその浮いたお金を、iDeCoやつみたてNISAで貯蓄をするという話が多いでしょう。たしかに、これは正解で、正しい考え方です。

しかし、節約して貯めてばかりでは、現状から抜け出せない。節約をするのはいいのですが、根本解決にならない。なんて思ってしまうのです。それなりの高額所得者であれば、ムダな支出を削っていくことは大きな意味を持ってきます。

しかし、所得が多くない人は、すでにかなりの節約をしながら生活をしているのではと思ってしまいます。そこから節約をしてひねり出すお金は、多くありません。

ならば、所得を上げるということを検討することが大切です。

スキルアップをすれば、収入も上がるはず

「所得を上げる」のは簡単でないということはわかっています。でも、あえて言います。

内閣府の「2021年度国民生活に関する世論調査」によると、18歳〜39歳の人は現在の生活に対して満足している、まあ満足していると回答している人が約6割です。

一方、「今後の生活についてどうなっていくか?」という質問に対して6〜7割の人は、同じようなものと答えています。また、よくなると答えた人は15〜20%で、悪くなると答えた人は、15%ほどです。

このデータでは「同じような状態が続くのかな」と思っている人がもっとも多いということですね。

でも、もっと「自分の可能性に自信をもってもいいのでは」と思います。仕事を10年続けるとビジネス・スキルはアップします。

ただ、10年仕事を続けるにしても、ダラダラ続けるのではなく、スキルアップの意識を持って取り組むことで、より成長できます。成長するとそれにあった収入が得られるようになるものです。もし成長しているのにそれが収入に反映していない場合には、転職なども考えてもいいのではないでしょうか?

自分の能力を過小評価されたままでは損をします。いろいろとチャレンジをしてみるのが大切です。

所得が上がれば貯蓄額を増やせて、年金もアップできる

給与が上がると、厚生年金保険料も上がります。そして、将来に受け取る年金額もアップします。

また、給与が上がるのですから、生活に余裕がでて貯蓄に回せる金額も増えます。

給与が少ないときには、貯蓄にまわせるお金には限界があります。毎月切り詰めても1万円ぐらいしか貯蓄できなかったとします。しかし給与が上がれば、貯蓄に回せるお金も増やすことができます。たとえば10万円ぐらい貯蓄に回せるようになれば、「iDeCo」と「つみたてNISA」の両方を使って、多くの老後資金を準備することができます。

ただ、収入が多くなったからといって、ムダな支出が増えたり浪費に使うのではなく、しっかり管理も必要になりますね。

100年時代の働き方とは

収入を上げるために、資格を取ったり勉強するためには、それなりの自己投資も必要でしょう。しかし、まだ20代・30代なら、これからスキルアップする時間と可能性は十分にあります。それにスキルアップ、キャリアアップは、長く働くことを考えてもとても大切なことなのです。

「人生100年時代」と言われるように、長生きの時代になってきました。

2021年には、高齢者雇用安定法が改正されて、70歳までの雇用が努力義務になりました。いまの20代・30代の方は、70歳定年があたり前の時代になっているかも知れません。

就労期間というのは、また40年〜50年残っています。60歳過ぎても求められる人材になるためには、キャリアを磨く必要があります。また複数のキャリアを身につけて、年齢により変えていくことも考えられます。これがパラレルキャリアです。

筆者のキャリアというのは、20代・30代は出版社に勤務していた編集者でした。40代・50代は独立して編集プロダクションを立ち上げてフリーの編集者として仕事をしました。さらに50歳でFPの資格をとって、それ以降はFPとして執筆・講演などを中心に活動をしています。このようにスキルアップをしながら、キャリアチェンジをしてきました。

「自分は変わらない」なんて、最初から決めつけないでください。まだ、スキルアップ、キャリアアップの可能性があります。会社にぶら下がって、会社から与えられた仕事だけをこなせばなんとかなる時代というのは、終わりました。これからの時代は、自らキャリアを選択してつかみ取る時代なのです。敢えて言うなら、キャリアアップしていかないと、いまは不満がなくても、年齢とともに生活はきつくなっていきます。

キャリアアップが、豊かな老後生活を実現するいちばんの近道です。

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