「武力侵害 許されない」 ウクライナ侵攻 長崎の被爆者5団体など露に抗議

ロシアのウクライナ侵攻に対する抗議文を発表する(左から)田中会長、川野議長、本田会長=長崎市役所

 ウクライナに侵攻したロシアのプーチン大統領に対し、長崎の被爆者5団体は28日、武力攻撃を直ちに中止し、核兵器使用を示唆する発言を取り消した上で、国際社会との対話を図るよう求める抗議文を出した。このほか県内の各種団体も抗議の声を上げた。
 5団体連名の抗議文は「国家主権と領土を武力でもって侵害することは、いかなる理由を述べようとも国際社会の中で、断じて許されるものではない」と強調。プーチン大統領は、核兵器禁止条約を完全に無視しているとし、核兵器使用を示唆して「欧米諸国をどう喝している」と非難した。
 1月にロシアを含む核保有五大国が出した「核戦争回避」を最重要責務とうたう共同声明にも言及。「声明は一体何だったのか、その真意があらためて問われる」と指摘した。
 5団体のうち、長崎原爆被災者協議会の田中重光会長(81)と県平和運動センター被爆連の川野浩一議長(82)、長崎原爆遺族会の本田魂会長(78)が市役所で会見。本田会長は「自国の利益だけで戦争をしかけるのは常識から外れた行為だ」と批判し、田中会長は「まだ私たちの声を核保有国に届けないといけない」と決意をにじませた。川野議長は「蛮行が平然と行われている。世界中の人がこれに反対しなければならない」と訴えた。
 また、被爆証言の記録に取り組む「長崎の証言の会」は声明を発表。「被爆地長崎の市民は、戦争という無謀な行為のひとつの帰結が原爆による陰惨な攻撃であることを身をもって知っている」とし、ロシアに対して核兵器を使わないよう求めた。県民主医療機関連合会も「万が一にも核兵器が使用されれば、地球と人類全体に破滅的影響を与える。断じて容認できない」とする抗議文を出した。
 長崎平和推進協会は、調漸理事長名で、ロシアの侵攻を非難し「対話と外交により平和的解決への道を探ることを強く求める」とするコメントを発表した。


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