露 ウクライナ侵攻 「許されない」「心配だ」 長崎県内から批判や懸念

 ロシアがウクライナに侵攻した24日、長崎県内の被ばく医療や安全保障の専門家、被爆者からは、武力行使に対する批判や懸念の声が上がった。
 「プーチン大統領の言動は非常に狡猾(こうかつ)。国際社会の中では許されない」。原水爆禁止日本国民会議の川野浩一共同議長(82)は語気を強める。その一方、今回の軍事行動に欧米諸国が武力で対抗するのは「正しい行動ではない」とも指摘。解決のためには「ここは国連の出番。前面に立って強い行動をロシアに示すべきだ」と提案した。
 長崎大は1986年の旧ソ連(現ウクライナ)のチェルノブイリ原発事故以降、周辺で医療支援を続け、首都キエフにある研究所と連携してきた。医師として甲状腺検査や被ばく線量評価などに携わってきた同大原爆後障害医療研究所(原研)の高村昇教授(53)は1週間ほど前、同原発に近い診療所の医師に「気を付けて」とメールを送ったばかり。ここ2年は新型コロナウイルス禍で現地を訪問できず、今すぐ医療支援に支障を来すわけではないとしながらも「(現地の状況が)とても心配」と述べた。
 元外務省専門官で、長崎大核兵器廃絶研究センター(RECNA)の西田充教授(50)は「中距離ミサイルを配備しないなど(ロシア側の)提案には今後の対話の足掛かりとなるものもある。だが基本的にロシアの理屈は言い掛かりで、ウクライナを属国にしたいだけ。国際秩序を無視し、なりふり構わないプーチン大統領は常軌を逸している」と批判した。
 核兵器使用リスクについては、現段階で「高まっている気配はない」とみるが、侵攻直前にロシアの核ミサイル部隊が大規模演習を展開しており、「核(攻撃力)をちらつかせていることは確か」と指摘する。今後は原油価格上昇など世界規模の影響を懸念。ロシアと連携する中国が混乱に乗じて動きださないか注視する必要もあるとした。

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