まん延防止再延長か解除か 栃木県が近く判断、効果には疑問の声も

栃木県庁

 新型コロナウイルス感染症のまん延防止等重点措置が1月27日に栃木県へ適用されてから、約1カ月が経過した。1日の新規感染者は計738人。わずかに減少傾向にあるものの依然、高止まりの状況が続く。重点措置の柱は飲食店への営業時間短縮(時短)要請だが、県内では飲食店以外で感染が広がっており、措置の効果を疑問視する声も上がる。

 措置期限が6日に迫る中、県は国に再延長を要請するか近く判断する。

 新規感染者は措置が適用された初日の1月27日が618人。以降、増加は止まらず2月15日は過去最多の1107人に上った。1週間の集計では2月下旬から前週を下回るようになったが、前週比0.8~0.9程度と減少ペースは鈍い。病床使用率は31.7%から38.2%、重症病床使用率は0%から19.6%に上昇している。

 JR宇都宮駅周辺の夜間の人出は、県内で感染拡大が始まった1月上旬から減少が続いていたが、2月9日ごろから下げ止まった。措置期限が延長となった20日以降でも増加が目立ち、24日には前週比36%増となった。

 重点措置の適用は危機感の共有につながるとの見方がある一方、柱となる飲食店対策の効果は不透明だ。1月以降に発生したクラスターは飲食店では1件のみ。一方、高齢者施設や保育施設、学校などでクラスターが頻発し、計90件に上っている。家庭内感染も広がる。

 県感染症対策課は、感染力が強いオミクロン株の特性を踏まえ「会食の場にとどまらず、どこで感染してもおかしくない状況」と説明。重点措置だけでは感染者数を大幅に抑え込めないのが現状だ。

 2月に開かれた全国知事会では、各知事から重点措置への疑問の声が相次いでいた。福田富一(ふくだとみかず)知事も「適切なのか疑問に思わざるを得ない」と指摘し、国に見直しを求めた。

 措置の延長の是非は、難しい判断となる。県は感染者数や病床使用率の推移に加え、隣県の動向などもにらみながら一両日中に判断する方針だ。

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