九十九島の「ウミウシ」 3年調べ論文発表 海きらら職員の両角さん

ウミウシの展示の前で、論文を手にする両角さん=佐世保市、海きらら

 長崎県佐世保市鹿子前町の九十九島水族館(海きらら)職員、両角裕希さん(26)が、九十九島海域などで見られる「ウミウシ」の約3年分の調査をまとめた論文を、県生物学会誌89号に寄稿した。同館が九十九島のウミウシに関する論文を発表するのは初めて。
 ウミウシは貝殻を持たないか、退化した貝殻を体の中に持っている巻き貝の仲間で、色や形、大きさはさまざま。世界には5千~6千種類がいるといわれており、生態など未知な点が多い生き物だという。

展示中のコナユキツバメガイ

 元々ウミウシに興味があった両角さんは、2018年から本格的な調査を開始。同町の九十九島パールシーリゾート内マリーナや黒島を中心とする九十九島海域とその周辺で、月に1度スキューバダイビングなどをして、採集や目視で調べてきた。論文は同年1月から20年12月までの調査結果をまとめたもので、25科77種を掲載。専門家らにアドバイスをもらいながら昨年秋に完成させた。

 2月21日には、同マリーナで調査を行い、クロシタナシウミウシ約10匹を採集。両角さんは「九十九島はたくさんのウミウシを育む自然豊かな場所だということが、論文を通して伝わるとうれしい。今後も調査は続けていく」と声を弾ませた。
 現在、同館ではコナユキツバメガイなど8種のウミウシを展示している。


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