「新型コロナ」関連の経営破たん(負債1,000万円未満を含む)が3月2日、全国で累計3,000件(倒産2,873件、弁護士一任・準備中127件)に達した。
2020年2月25日、第1号が判明してから約1年後の2021年2月に1,000件、同年8月に2,000件に達していた。第1号判明から3,000件まで736日を経過したが、破たんペースは高水準が続いている。単純計算では1日4件のコロナ破たんが発生している。
コロナ関連破たんは当初、影響が直撃した飲食業や宿泊業の発生が相次いだ。その後、様々な業種に広がり、最近は飲食業の破たんに加え、工事計画の見直しや資材高騰の建設業、消費者行動の変化に対応できない飲食料品卸売業などでも破たんが目立つ。
オミクロン株の感染拡大で「まん延防止等重点措置」適用地域の多くが、期限延長を検討している。全国的な影響の長期化で、顧客の足が遠のき営業機会が減少している飲食業、旅行業などを中心に、外出自粛による消費関連業種の疲弊感が募っている。
金融機関のリスケ対応など、政策支援は継続する見通しだが、長引く業績不振で過剰債務に陥った企業への対応も急務になっている。このため、息切れやあきらめによる脱落が徐々に増え、しばらくコロナ破たんは高水準で推移する可能性が高い。
【都道府県別】 ~ 100件以上は8都道府県に ~
都道府県別では、東京都が642件(倒産623件、準備中19件)に達し、全体の2割強(構成比21.4%)を占め、突出している。以下、大阪府306件(倒産291件、準備中15件)、福岡県153件(倒産146件、準備中7件)、神奈川県141件(倒産134件、準備中7件)、兵庫県137件(倒産133件、準備中4件)、愛知県132件(倒産132件)、埼玉県(倒産94件、準備中10件)と北海道(倒産102件、準備中2件)が各104件と続く。
2日は福岡県で3件など全国で11件判明した。10件未満は2県、10~20件未満が9県、20~50件未満が21府県、50件以上100件未満が7県、100件以上は8都道府県に広がっている。
【業種別】 ~ 最多は飲食業の517件、建設、アパレル、食品卸、宿泊が続く ~
業種別では、来店客の減少、休業要請などで打撃を受けた飲食業が最多で517件に及ぶ。「まん延防止等重点措置」適用地域では営業制限が続き、経営体力の消耗やあきらめによる飲食業の新型コロナ破たんがさらに増加する可能性も強まっている。
次いで、工事計画の見直しなどの影響を受けた建設業が318件、小売店の休業が影響したアパレル関連(製造、販売)の229件。このほか、飲食業などの不振に引きずられている飲食料品卸売業が131件。インバウンドの需要消失や旅行・出張の自粛が影響したホテル,旅館の宿泊業が113件と、上位を占めている。
【負債額別】
負債額が判明した2,956件の負債額別では、1千万円以上5千万円未満が最多の1,067件(構成比36.0%)、次いで1億円以上5億円未満が912件(同30.8%)、5千万円以上1億円未満が520件(同17.5%)、5億円以上10億円未満が163件(同5.5%)、10億円以上が153件(同5.1%)と続く。
負債1億円未満が1,728件(同58.4%)と半数以上を占める。一方、100億円以上の大型倒産も6
件発生しており、小・零細企業から大企業まで経営破たんが広がっている。
【形態別】
「新型コロナ」関連破たんのうち、倒産した2,873件の形態別では、破産が2,562件(構成比89.
1%)で最多。次いで民事再生法が124件(同4.3%)、取引停止処分が115件(同4.0%)、特別清算が59件、内整理が12件、会社更生法が1件と続く。
「新型コロナ」関連倒産の約9割を消滅型の破産が占め、再建型の会社更生法と民事再生法の
合計は1割未満にとどまる。
業績不振が続いていたところに新型コロナのダメージがとどめを刺すかたちで脱落するケースが大半。
先行きのめどが立たず、再建型の選択が難しいことが浮き彫りとなっている。
【従業員数別】
「新型コロナ」関連破たんのうち、従業員数(正社員)が判明した2,870件の従業員数の合計
は2万7,641人にのぼった。
2,870件の内訳では従業員5人未満が1,696件(構成比59.0%)と、半数を占めた。次いで、5人以上10人未満が532件(同18.5%)、10人以上20人未満が334件(同11.6%)と続き、従業員数が少ない小規模事業者に、新型コロナ破たんが集中している。
また、従業員50人以上の破たんは2021年上半期(1-6月)で17件、下半期(7-12月)で15件。2022年は6件発生している。
※ 企業倒産は、負債1,000万円以上の法的整理、私的整理を対象に集計している。
※ 原則として、「新型コロナ」関連の経営破たんは、担当弁護士、当事者から要因の言質が取れたものなどを集計している。
※ 東京商工リサーチの取材で、経営破たんが判明した日を基準に集計、分析した。
(新型コロナ関連破たん月別累計推移(負債1000万円未満含む)
(負債1,000万円未満を含む)