「平和のため」商品全て無料に 逗子のアイス店がウクライナ支援 1日限定の慈善企画 完全赤字も「現地は厳しい」

募金箱を手に平和と寄付を呼び掛ける小松原和明さん(中央)=逗子市内

 ウクライナ支援への募金で、商品全て無料─。JR逗子駅近くのアイスクリーム店「クレマホップ」が4日、1日限定の慈善企画を行う。10円以上寄付すれば、店の商品がどれでも無料で飲食できる。完全な赤字となるが、店主の小松原和明さん(33)は「平和のために何かしたかった」と話し、募金を呼び掛けている。

 ミサイルの爆発におびえる子どもの悲鳴が耳に残って離れない。先月28日の夜、ツイッターで流れてきた動画を見て、泣けてきた。自身も4児の父。同国に縁もゆかりもないが「何かできないか」と思い立った。

 大学卒業後、焼き肉店チェーンの運営会社に就職し、店長として全国を回った。独立し、先月上旬に自宅のある逗子市に店を開いた。有機栽培の砂糖を使ったアイスクリームは毎朝、横須賀市内の工場で手作りし、ビーガン(完全菜食主義者)向けメニューも並ぶ。

 アイスはバニラやイチゴのほか、ピンクソルトキャラメルなど23種類の味を用意。通常はシングル420円、ダブル620円などで提供している。今回の事前企画では、アイスのほかコーヒーや紅茶などの飲み物も対象となる。

 「10円でいろいろ食べられたら、どうしよう」と不安になったという小松原さん。しかし、杞憂(きゆう)だった。今月2日、店に企画の張り紙をして、募金箱を置いた。その日は無料ではないにもかかわらず、企画に感激した客4人が相次いで千円札を入れてくれたという。

 当日は午前9時から午後8時までで、商品がなくなり次第終了する。募金は全額、駐日ウクライナ大使館に送る。小松原さんは「現地はこちらの想像できないくらい厳しい状況だろう。平和のために使ってほしい」と話している。

 問い合わせは同店電話070(8444)4380。

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