長崎県 まん延防止解除決定 経済活動再開に期待感 感染再拡大の不安拭えず

長崎市中心部を行き交う市民ら。まん延防止等重点措置の解除決定を巡り、期待と不安が交錯した=4日午後3時21分、同市銅座町

 長崎県内全域に適用されている新型コロナウイルス対策のまん延防止等重点措置の解除決定に伴い、県が飲食店への時短営業や県民への外出自粛要請終了を発表した4日。飲食店経営者や市民らの中で経済活動再開への期待や安堵(あんど)感、感染再拡大への不安が交錯した。1日当たりの感染者数は300~400人台でほぼ推移しており「解除はまだ早いのでは」との声も聞かれた。
 「久しぶりに営業できるので良かった」。長崎市中心部で居酒屋を経営する男性(44)は、ほっとした様子。酒類提供自粛要請で1月下旬から休業を余儀なくされた。店は7日、1カ月半ぶりに再開する。「予約も入ってきているので(感染に)気を付けながら仕事をしていく」と歓迎した。
 観光業界からも「待ち望んでいた」と安堵(あんど)の声が聞かれた。雲仙市の小浜温泉街にあるホテル「オレンジ・ベイ」の山下健太郎常務(29)は「旅行しやすい雰囲気になるので、予約が上向いていくはず」と期待。「さらに弾みになる」と県内宿泊割引キャンペーンの早期再開を望んだ。
 一方、佐世保市中心部で居酒屋を経営する女性(43)はオミクロン株の派生株「BA・2」への置き換わりによる感染状況悪化などへの市民の警戒感から、解除後も夜の客足が戻るのは難しいとみる。「昼と夕方の客をメインに考えた営業」を当面続ける考えだ。
 市民の中でも受け止めはさまざま。長崎市葉山1丁目の女性会社員(36)は「周囲でコロナに感染している人が最近増えている。解除して大丈夫か」と懸念。同市大浦町の無職男性(70)は「解除しないと経済が回らない。対策しながらやっていけばいい」と理解を示し、4回目のワクチン接種に向けた早めの準備を求めた。市内の通所介護事業所に勤める50代女性看護師は「消毒など『職場からコロナを出さない、もらわない』感染対策を徹底しており、仕事上の不安はない」と話した。
 雲仙市国見町で料亭を経営する県料飲業生活衛生同業組合の藤本淳次郎理事長(63)は「解除した後、感染防止対策と経済活動の両立に向け、店もお客さまも協力することを期待するしかない」と語った。

県内第6波の感染者と病床使用率

© 株式会社長崎新聞社