長崎県知事選スタートに県民は… コロナの閉塞感漂う中 活発な論戦を期待

 長崎県のリーダーを選ぶ4年に1度の知事選が3日、告示された。新型コロナウイルス感染拡大に伴う、まん延防止等重点措置下での選挙戦。閉塞(へいそく)感漂う暮らしの中で、有権者はコロナ対策や地域振興策を巡る活発な論戦に期待を寄せる一方、「選挙どころではない」と悲痛な声も上がる。
 重点措置による営業時間短縮と酒類の終日提供禁止要請を受け、飲食店は苦境が続いている。諫早市内で居酒屋を経営する清水幸雄さん(41)はランチ時間のみ営業。「(重点措置が終わっても)外食しない習慣が当たり前になって客足が戻らないのでは」と不安を抱く。今年秋の九州新幹線長崎ルート部分開業に期待を寄せるが「盛り上がっていない。(感染収束を見据え)全国から人が集まるような仕掛けづくりを」と積極的な論戦を求めた。
 「子育て中のママが孤立しないような支援を」。幼児2人を育てる佐世保市の主婦、馬場周子さん(40)は重点措置で児童センターなどが臨時休館し、孤独を抱える人が多いと感じる。「コロナ禍は2年目だが、対策は最初の頃から進歩がない」と不満を漏らした。
 人手不足に悩む医療・福祉分野。大村市内で障害者就労支援施設を運営する社会福祉法人の蓮本高啓理事(53)は、求人を出しても応募が来ないと危機感を募らせる。「人口減対策や福祉分野の人材育成が必要。外国人受け入れなど柔軟な視点を持ち、アクティブに動いてもらえるリーダーを望みたい」と話した。
 長崎駅周辺再開発など大型施設が次々に生まれる長崎市。熊本県出身で長崎大1年の大隈連さん(19)は、まちづくりに一貫性がないと感じている。「何に向かっているのか、どんなまちにしたいのか(候補者は)もっとアピールを」と注文。投票には行くつもりだが「若者の投票率が低いと言われるが、若者向けの施策を打ち出すことや、議論する場を設けるなどアクションを起こしてくれたら」と語った。
 「日々の暮らしや仕事のことで頭がいっぱい。なかなか選挙や政治に関心が向かない」。対馬市の運送会社社員、松村勝利さん(54)はこうこぼす。もともと輸送コストが高い離島の生活を燃油高が直撃し「燃料費がかさんで厳しい」と頭を悩ませる。「(知事に)誰がなっても同じような気がする」。悲痛な声を上げた。


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