ハースF1、テストでリザーブのフィッティパルディを起用へ。レギュラー候補にはヒュルケンベルグやジョビナッツィが浮上

 ハースF1チームのオーナー、ジーン・ハースは、3月10日にスタートするバーレーンでのプレシーズンテストでは、ニキータ・マゼピンの代わりにリザーブドライバーのピエトロ・フィッティパルディをマシンに乗せる見通しであると示唆した。ハースは、ロシアが2月24日にウクライナに対する軍事侵攻を開始したことを受け、5日、ロシア企業であるウラルカリとのタイトルパートナーシップおよび、同社の共同オーナーの息子マゼピンとのレースドライバー契約を即時解除すると発表した。

2022年F1バルセロテスト1日目 ニキータ・マゼピン(ハース)

 ジーン・ハースはAP通信に対し、「ウクライナ侵攻に対する激しい批判があり、それが高まりつつあった。我々も、他のスポンサーも、それに対応することはできない」とコメントした。

 AP通信のインタビューのなかで、ジーン・ハースは、ウラルカリのスポンサーシップを失っても、チームの経済面の安定は維持できると強調。ハースF1チームの主要スポンサーは、彼が所有するCNC旋盤等の製造会社ハース・オートメーションであると説明した。

2022年F1バルセロナテスト ハースF1のオーナー、ジーン・ハースとチーム代表ギュンター・シュタイナー

「これまでずっと、ハース(・オートメーション)がメジャーな主要スポンサーだった。ロシアのチームになったと言われた理由が分からない。ハース・オートメーションのロゴが常にマシンについていた」とジーン・ハース。

「我々は問題ない。もちろん、資金は多い方がいいが、大丈夫だ。予算が減ることになるだけだ」

■ハースF1チームオーナー「マゼピンの後任には経験あるドライバーを起用したい」

 マゼピンの後任としてフィッティパルディがテストでマシンを走らせる見込みであると述べたジーン・ハースは、今年ミック・シューマッハーのチームメイトとしてレースドライバーを務めるドライバーについては検討中であり、経験あるドライバーを選びたい考えがあると明かした。

「数人の候補者を検討している最中だ」とハースはAP通信に語った。
「誰を起用することが可能か、何に対処すべきなのかを見ていくことになるが、水曜までにはドライバーを決定することになるだろう」
「ピエトロは間違いなく(テストに)参加するだろう。彼はテストドライバーなのだし、そのためにいるのだ」

「(長期的には)言うまでもなく、もっと実際の経験を積んだドライバーを起用したいと考えている」
「今は、何が可能なのかを見ていく必要がある」

 先週の時点で、チーム代表ギュンター・シュタイナーは、マゼピンが走れなくなった場合、後任の第一候補となるのは、現リザーブドライバーのピエトロ・フィッティパルディであると認めていた。

 2度のF1チャンピオンであるエマーソン・フィッティパルディの孫であるピエトロは、2019年にハースのテストドライバーに就任、それ以来両者の関係は続いている。2020年バーレーンGPで当時レースドライバーのロマン・グロージャンが大クラッシュによりけがをした際に、その後の第16戦と第17戦に代役でF1に出場した。

2022年F1バルセロナテスト ハースF1のリザーブドライバー、ピエトロ・フィッティパルディ

 しかしジーン・ハースが、レースドライバーとしては“実際の経験をより多く積んだドライバー”を求めていると発言しているように、シーズン通して走るドライバーとしては、ニコ・ヒュルケンベルグとアントニオ・ジョビナッツィが候補に浮上しているようだ。

 ヒュルケンベルグは、2019年末でルノーのシートを失った後、2020年にはレーシングポイント(現アストンマーティン)で3戦レギュラードライバーの代役を務め、現在はアストンマーティンのリザーブドライバーとなっている。

 ヒュルケンベルグにはチームに多額のスポンサーを持ち込むことはできないが、才能と経験を備えた彼が加入すれば、ニューマシン開発において非常に役立ち、若きシューマッハーにとってもプラスになるだろう。

 フェラーリのなかには、2021年末でアルファロメオのシートを失ったジョビナッツィに再びF1参戦のチャンスを与えたいと考える者がいる一方で、スクーデリア・フェラーリで将来彼を起用する可能性は低いため、彼のF1活動に投資し続けることに疑問を持つ者もいる。

2021年F1第14戦イタリアGP アントニオ・ジョビナッツィ(アルファロメオ)

 シュタイナー代表は、ドライバー選択についてジーン・ハースから全権を委任されており、フィッティパルディと彼のスポンサー、ジョビナッツィとフェラーリ関係者、そしてヒュルケンベルグ、さらにその他の候補者との交渉を経て、最終的な決断を下すことになる。

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