【新型コロナ】「もう少し早く打てていれば死者減」異例、自民議員が参院予算委で接種遅れ批判

 新型コロナウイルスワクチンの3回目接種を巡り、7日の参院予算委員会で自民党の園田修光氏が「もう少し早く打てていれば死亡者は減らせた」と政府対応の遅れを指摘した。NHKのテレビ生中継も入る審議での与党議員による批判は異例だ。

 自民党幹部は「『1日100万回接種』の目標をうやむやにするなどの岸田文雄首相の姿勢への不満が漏れ始めた」と指摘。「感染が収束せずにまん延防止等重点措置が解除できなかった場合、内閣への責任論が身内からも出かねない」との懸念も示した。

 園田氏は「昨年の第5波での死者は3400人だった。今の第6波はまだ2カ月だが6千人に達している」など具体的な数字に言及。「第5波では施設入所者など高齢者に早期にワクチン接種を進めた。結果、感染者は急増したが重症化は防げて亡くなる人の数も抑制された」と振り返った。

 3回目接種については「高齢者へしっかり打つことが何よりも命を守るという経験を持ちながら、取り組みが進まないのは残念だ。総力を挙げて巻き返しをしてほしい」と促した。

 後藤茂之厚生労働相は「高齢者の発症予防は重要で、希望者への接種完了を急ぐ」と答弁した。一方で「97%の自治体が対象者への接種を早期に終える対応が可能と回答した。接種券6100万人も発送済みだ」などと付言。「ボールは政府ではなく自治体や国民の側にある」との従来の見解を繰り返した。

 岸田首相は3回目接種の目標として掲げた「1日100万回」について、3日の記者会見でワクチン接種記録システム(VRS)の入力数に算出基準を差し替え。接種回数が数日分まとめて入力されることもあり、1日ごとの実数での算出を事実上放棄した。

 「2月中に終える」との目標を設定した高齢者への接種も7日の官邸ホームページなどでの公表によると57.6%の達成率にとどまっている。

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