金子農相が政界引退へ 〝世代交代〟参院選出馬せず 「寂しい思いも」

参院選への不出馬を表明する金子氏=県庁

 自民党参院議員で農相の金子原二郎氏(77)=長崎選挙区=は7日、長崎県庁で記者会見し、今夏の参院選には立候補せず、7月下旬の任期満了後に政界を引退する意向を明らかにした。「今が世代交代の時期と考え、若い人にバトンタッチする方が良いと判断した」と述べた。岸田文雄首相には4日に伝えたという。
 金子氏は昨年7月に党公認候補に決定していたが、当時も高齢を理由に「(出馬するかどうか)随分迷いはした」と会見で明らかにした。その後の衆院選と知事選を経て再検討し、「今は元気だが、当選した場合、6年の任期中に健康上の問題があれば、いろいろと迷惑を掛ける」として引退を決断。引退後も人脈を生かして政治活動は続ける。
 後任候補については公募すると参院選まで時間がないとして、「県政に精通している若い県議を選んでほしい」と党県連に7日に伝えたという。県連の山本啓介幹事長は記者団に後任候補の選出を急ぐ方針を示した。
 金子氏は平戸市生月町出身。慶応大卒。1975年の県議初当選から議員活動をスタートさせ、衆院議員を経て、県知事を3期務めた。2010年の参院選で初当選し、現在2期目。昨年10月の岸田内閣発足で初入閣した。
 今夏の参院選長崎選挙区(改選数1)には、いずれも新人で、立憲民主党県連副代表の白川鮎美氏(42)、共産党県委員会女性部長、安江綾子氏(45)が立候補を予定している。

■金子農相<一問一答>

 金子農相の記者会見での主なやりとりは次の通り。

 -政界を引退する理由について。
 昨年7月に党の公認を受けたが、実はその時もずいぶん迷いはした。今夏の参院選の時は78歳になり、今は元気だが、任期6年は長い。ただ(昨年10月の)衆院選に影響を与えてはいけないと思った。(今年2月の)知事選に向けても確実に(中村法道前知事の)後継者に引き継ぐことを考えた。知事選が終わってもう一度考え、新しい時代に入ってくるし、世代交代の時期かなと。

 -知事選では「世代交代」を訴えた大石賢吾知事を支援した。
 辞める気持ちが去年からあったのは間違いない。知事選でも「世代交代」と自分で言ってたしね。(辞める理由として)「世代交代」は一つあるのかな。早く新しい人に引き継いで、やってもらわないと長崎のためにならない。

 -後任候補に意中の人はいるのか。
 そういう人はいない。党の県連内で話して決めること。

 -知事選は自民分裂選挙になり、参院選への影響を懸念する声もあった。それも不出馬の判断に影響を与えたのか。
 それは全くない。私が身を引くことになったので、皆さんに不快な思いをさせたことをおわび申し上げ、心機一転、(自民党員)みんなで参院選を頑張ってもらいたい。

 -現在の心境は。
 複雑な気持ち。皆さんに(県議初当選から)47年間お世話になり、最後は大臣まで務められたという思いと、まだまだやれるけどなと。しかし、新しい時代に向かって身を引く時は引かないといけない。寂しい思いがないとは言えない。


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