割れた殺生石どうする そのままか復元か…「これはこれで」観光客には人気

割れた殺生石(左側の中段)の写真を撮影する観光客=7日午後4時、那須町湯本

 5日に割れていることが分かった那須町湯本の国指定名勝「殺生石」について、周辺一帯を管理する環境省日光国立公園那須管理官事務所は7日、現地を訪れ岩の断面などを確認した。下野新聞社の取材に、担当者は「現時点で復元の予定はない」。ただ、一部には復元を望む声もあることから、関係者と協議した上で対応を決めるとしている。

 割れた正確な日時や詳しい原因は分かっていないが、状況を確認した同事務所の北原理子(きたはらりこ)さんは「周辺の状況から、自然に割れた可能性が高い」との見方を示した。

 一方、割れた石をどうするかについては、「人の手を入れずに保全することが原則。安全面に問題がなければ、そのままの状態でということになる」との見解。雪解けまでは本格的な調査なども行わないという。

 地元関係者の反応はさまざまだ。町観光商工課の担当者は「できるだけ元の形に戻してほしいが、ハードルは高い」とみる。殺生石に至る木道の幅が狭く、石を動かす重機を入れることが難しい状況もある。

 那須高原湯本ガイドクラブの菅原正晴(すがはらまさはる)会長(83)は「地元にとって大切な観光資源。どういう形にするのが一番いいか、十分に話し合って決めてほしい」と望む。同町観光協会の阿久津千陽(あくつちあき)会長(51)は「まずは会員の意見を聞いてみたい」と話した。

 この日は、会員制交流サイト(SNS)や報道で知った多くの人が殺生石を訪れた。那須町の70代男性は「これまで何度も見に来たが、これはこれで面白い」と写真を撮っていた。

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