足利市西宮町の両崖山の火災発生から21日で1年となるのを前に、市は18日、市内山林での喫煙やたき火などを禁止する「市の美しい山林を火災から守る条例」を制定する方針を明らかにした。山林火災防止に特化した同様の条例制定は全国的にも例がないという。
3月定例市議会に条例案を提出し、4月1日施行を目指す。
対象となる山林は、民有地を含めた市内全域。(1)喫煙(加熱式、電子たばこを含む)(2)たき火(3)煙火(のろし、花火など)(4)裸火(ライター、ストーブ、コンロなど炎が露出するもの)-の使用を禁止する。
例外として、車内や林業事務所、飲食店など認められた場所での喫煙、住宅や寺院、事業所敷地内での火気使用は認め、強風や火災警報発令時の使用中止、消火確認までその場を離れないことなどを求める。
モラル向上を目的とし、罰則は設けない。今後、行動計画やマニュアル作成を通じて防犯カメラや案内板設置なども検討する。
早川尚秀(はやかわなおひで)市長は同日の定例記者会見で「市民はもちろん、市外からの入山者にいかに伝え、守ってもらうか、SNS(会員制交流サイト)発信も含めて効果的な方法を検討し、再発防止に努めたい」と話した。
総務省消防庁は「山林火災防止に特化した条例は、把握する限りない」としている。
両崖山の火災は周辺の天狗山など約167ヘクタールを焼き、発生23日目の3月15日に鎮火。一時305世帯に避難勧告が発令されるなど市民生活にも影響が出た。