真鶴町名簿不正問題 議会常任委が予算案否決 「再発防止策が不十分」 町民生活に影響も

賛成少数で来年度一般会計予算案を否決した真鶴町議会総務経済常任委員会

 真鶴町議会は8日の総務経済常任委員会で、2022年度当初一般会計予算案を賛成少数で否決した。松本一彦町長が昨年12月の出直し町長選で公約に掲げた行政文書の電子化について予算計上を見送ったことなどに対し「再発防止策が不十分」と指摘が相次いでおり、町の選挙人名簿抄本を松本町長が不正に複写して選挙に利用していた問題が、町民生活にも影響しかねない事態となった。

 同常任委には全議員10人が所属し、欠席者や天野雅樹委員長らを除いて賛成3、反対4で否決された。11日の本会議で再び採決される予定だが、一部町議が独自の修正案を提出する準備を進めている。

 町の一般会計は前年度とほぼ横ばいの35億4800万円。職員研修費25万円が前年度から4万円減額した一方で、情報管理強化のため行政文書をデジタル管理するシステム導入については「庁内の検証作業が必要」(町担当者)として事業費は盛り込まれなかった。

 常任委の討論で高橋敦氏は「法令順守の職員研修などに必要な費用が計上されていない。再発防止の強い意志が示されなければ(予算案に)賛成できない」と批判し、賛成した村田知章氏も「もろ手を挙げて賛成ではない。再発防止策を今後の補正予算で速やかに対応してほしい」と注文した。松本町長から名簿のコピーを受け取った元議長の岩本克美氏は「新型コロナウイルス感染症対策など喫緊に対応する必要がある」として賛成に回った。

 松本町長は神奈川新聞社の取材に対し「非常に残念。町民の生活に迷惑が掛からないように議会側と調整したい」と話した。

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