子ども5人の7人家族「子どもに不自由させたくない」と支出が膨らみ月85万に!

読者のみなさんからいただいた家計や保険、ローンなど、お金の悩みにプロのファイナンシャルプランナーが答える[FPの家計相談シリーズ](https://media.moneyforward.com/series/1)。
今回の相談者は、自営業の夫と5人の子どもと暮らす44歳の女性。夫の収入が月平均で10万ほど減ってしまい、毎月赤字ぎみとのことですが、5人の子どもたちの食費と教育費も多く、ひと月で85万まで出費が膨らんでいます。見直しのポイントは? FPの横山光昭氏がお答えします。


自営業の夫の収入が減り、毎月赤字がちになってしまいました。以前より10万円ほど減っています。私もアルバイトで収入を助けていますが、そう多い金額ではありません。

子どもが5人と多いので、支出も多くなりがちですが、できれば教育費や食費は今まで通りにかけていってあげたいですし、一方で、ボーナスのない仕事ですから赤字の補てんをするのは貯金を引き出すしかなく、将来の教育費を考えると、これも避けたいところです。

学校は全員公立校です。日々、節約できるところは意識して節約しています。ただ、人数により仕方がない部分も多く、今後どうしていくべきか悩みます。

老後については、自営業なので、長く働き収入を得られる点がメリットだと思っています。ですが、先の健康や業績についてはわかりませんし、きちんと備えていけるかも心配です。

子どもに不自由はさせたくないし、自分たちの老後も心配。どのように家計をやりくりしていくと、希望する暮らしができるのか、ヒントをいただければと思います。

【相談者プロフィール】

・相談者:44歳、アルバイト ・夫:50歳、自営業

・子ども:長男(高校2年生)、長女(中学2年生)、次男(小学6年生)、次女・三女(小学3年生で双子)

・手取り収入:合計75万4,000円(相談者月収6万2,000円、夫69万2,000円※平均。収入が減る前は、夫の収入は約10万円多かった)

・貯金額:920万円

・毎月の支出の目安:84万9,000円

【毎月の支出の内訳】

・住居費(家賃):22万5,000円

・食費(外食含む):16万4,000円

・水道光熱費:3万4,000円

・通信費(スマホ2台、固定電話、ネット):3万8,000円

・生命保険料:4万3,000円

・日用品代: 5,000円

・医療費:8,000円

・教育費: 14万6,000円

・交通費:1万6,000円

・被服費:5,000円

・交際費:5,000円

・娯楽費:3,000円

・小遣い:13万円

・し好品(タバコ):2,000円

・その他:2万5,000円

横山:ご主人の収入が減り、家計が赤字になったのですね。ですが、毎月の収入も多く、支出も多いと思います。人数が多いから仕方がない部分ももちろんありますが、もっと支出をコントロールしていくことは可能だと思います。収入を増やすことだけに頼らず、現状に合わせてコントロールできるようになりましょう。

節約しても、かけたい部分はゆるみがち

収入が下がったと言いますが、夫の収入は立派なものです。手取り収入額は、国民健康保険料や国民年金保険料を抜いた金額のようですし、これだけの収入を家庭に持ってくるのは、なかなか大変なことだと思います。

相談者様も収入に協力しているようですし、収入については申し分ないと思います。ですから、回復することを期待するよりも、今の収入で上手くやりくりすることを考えていきましょう。

節約できるところはしているということですが、お子さんのために維持したいという教育費、食費は、家計をかなり圧迫していると言えます。小遣いも、内訳はわかりませんが、多いように思います。

ご自身では支出にメリハリをつけているつもりかもしれませんが、まだ甘いということです。家族が多いので、確かに「やむを得ない支出」というものもあると思います。ですが、その「仕方がない」に甘えてしまうと、気が緩み、支出が大きくなってしまいやすいのです。この「仕方がない」に向き合い、支出をコントロールしていけると、教育費も負担でき、老後資金も作っていけるようになるでしょう。

食費の改善にはふるさと納税の活用も

お子さんが多くても、月16万円の食費は多すぎだと感じます。無駄にしている食材などは出ていないでしょうか。食費を下げたい、でも、食事量や内容は維持したいと考えるなら、
・一週間の食費予算をつくり、1週間単位で管理をする。
・ふるさと納税を活用し、食材を取り寄せる
といった工夫をすると、金額を下げられるのではないかと思います。

ご存知かもしれませんが、ふるさと納税は、住民税の先払いをするような仕組みで、自治体に寄付をするとその地域の特産品が受け取れるというものです。確定申告では「所得控除」が受けられますし、住民税からは税額控除を受けられます。

相談者様のご家庭ほど収入があると、15万円ほどは寄付ができるのではないかと思います。住民税の「住民税所得割額」の2割程度が目安になりますが、収入は年ごとに異なるでしょうから、極端な増減がなければ、その所得割額の2割の金額の、8割ほどに収めておくとよいでしょう。

ふるさと納税では、米、肉、魚、野菜といった、私たちの食卓に欠かせない食材が沢山取り扱われています。災害等に合った地域や、コロナ等の影響で無駄になりそうな食材が出されている場合もあり、通常より量が多く受け取れるものも出ています。また、定期的に一掃されるものもありますから、上手に活用すると、食費の助けになるでしょう。

習い事を整理し、備えるためのお金をねん出

お子さんはみんな公立校に通っているとのことですが、毎月の教育費は14万円越え。ここは少し整理してもよいのではないかと思います。お子さんが通わなくなった習い事の月謝がずっと引き落とされているということはないでしょうか。受験期になるともっとお金がかかるでしょうから、優先順位をつけてさほど必要がなくなった塾や習い事は、お子さんとよく話をして場合によってはカットしてもよいと思います。

ほか、大人数で暮らしていますから、みんなで節約の意識を持ち、ムダな電気をつけない、水は必要のないときは止めるなど、基本的なことに取り組むのもいいですね。ほか、節水シャワーヘッドを使う、電力、ガス自由化を生かし、業者ごとに比較して料金の安いところに変更するなども考えられます。

さらに、スマホはどんどん利用料が安くなっています。格安スマホなどでご家族それぞれに合ったプランを探し、変更するのもよいと思います。

このように、暮らしにはさほど変化を与えず、できるところを工夫して支出をコントロールしていくと、今の収入の中で生活し、かつ、貯金も増やしていくこともできるようになるでしょう。

小規模企業共済や iDeCoの控除を利用しよう

貯金だけではなく、ご夫婦の老後資金作りも必要です。自営業者の退職金づくりになる「小規模企業共済」、私的年金づくりの「iDeCo」は老後を見据えた資金作りができます。しかも、掛け金が全額所得控除となるので、確定申告時の所得税、翌年の住民税額を安くすることができ、結果として手取りを増やすことができます。
家計が黒字になってからですが、これらの導入も検討いただき、心配のない将来を迎えていただきたいと思います。

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