新たな争点となった国際ドラフト導入 機構側が提案も選手会は猛反対

労使交渉が決裂し、レギュラーシーズン開幕の再延期が決定したメジャーリーグだが、金銭面の条件での歩み寄りが進むなかで新たな争点となったのが国際FA選手を対象とした国際ドラフトの導入だった。メジャーリーグ機構が国際ドラフトの導入を提案したものの、メジャーリーグ選手会はラテンアメリカ出身の選手を中心に猛反対。国際ドラフトが導入されることによって入団する球団を選べなくなり、契約金を得る人数や契約金の額などが制限されてしまうことを懸念しているようだ。

機構側は選手会に対して以下の3つの選択肢を提示したことが報じられている。

【1】クオリファイング・オファー制度の撤廃と引き換えに国際ドラフトの導入を受け入れる

【2】クオリファイング・オファー制度を維持し、国際FA選手の契約システムも既存のままとする

【3】クオリファイング・オファー制度の撤廃に同意し、次のオフシーズンに国際ドラフトの導入を再検討する機会を設ける

選手会はこの3つの選択肢をいずれも拒否。なお、3つ目の選択肢では、選手会が国際ドラフトの導入に反対し続けた場合、機構側が一方的に2024年シーズン終了後に労使交渉を再開できる権利を持つことになっていたようだ。

選手会はクオリファイング・オファー制度の撤廃と国際ドラフトの導入についての交渉期限を今年11月まで引き延ばすことを提案。しかし、機構側は3つの選択肢以外の方法は認めず、最終的にはレギュラーシーズンの再延期を発表した。

フェルナンド・タティスJr.(パドレス)は国際ドラフトの導入について「国際ドラフトはドミニカ共和国の野球を殺してしまうだろう。なぜなら、契約金を得られる若者がたくさんいるのに、国際ドラフトの導入によって同じようにはいかなくなるからだ」と発言。タティスJr.のようなラテンアメリカ出身の選手を中心に国際ドラフトの導入に猛反対する声が上がっている。

レギュラーシーズン開幕の再延期により、今後は試合日程、サラリー、サービスタイムの扱いなどをめぐって労使交渉がさらにもつれることが懸念されている。現時点では、最短で日本時間4月15日に開幕予定だが、本当にこの日に開幕できるかどうかは疑わしいところだ。

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