60歳までに貯めたい金額は?40代が身につけるべき貯蓄を増やすための習慣

2019年6月に金融庁の金融審議会「市場ワーキング・グループ」が発表した報告書(※)のなかに、「老後には年金以外に2,000万円必要」という趣旨の記載があり、これが「老後資金2,000万円問題」として大きな話題となりました。

もちろん、老後にどのような暮らし方をしたいか、年金がいくら支給されるかなど、人によって変わってくる金額ではありますが、ある程度の蓄えがあったほうが安心して暮らせるというのも事実です。

働き盛りとなる40代ではどのようにお金を使ったらよいのか、何を節約したらよいのか、ムリをしない節約術を考えてみましょう。


60歳までにいくら貯めておきたいのか?

会社勤めをしていると「定年」があります。その年齢は変わりつつあり、これからますます働き手不足となる日本では、定年の年齢が上がっていくと予想されます。そもそも終身雇用の形態も変わりつつあるので、必ずしも定年がある人ばかりではないでしょう。

それでも60歳を目安として、いくら貯めておきたいか、大まかな数字でいいので頭の中に置いておくことをおすすめします。目安がないと、毎月の収入をいくら使って、いくら貯蓄にまわしたらよいかイメージできないからです。

ざっくりとした貯蓄目標を考え、その金額を60歳になるまでの年月で割ってみましょう。そうすると、これから毎月いくら貯蓄したらよいのか、1年でいくら貯蓄したらよいのかがわかるので、その金額を頭に入れておき、可能な限り貯蓄にまわすようにしましょう。

金融審議会 市場ワーキング・グループ報告書「高齢社会における資産形成・管理」

自分がお金を使いたいものは何か?

お金は使ったときに初めて価値がでるものです。貯めているお金は、あくまでも将来の自分が使うお金であり、今の自分に還元されるものではありません。全精力を貯蓄に注いでしまっては、今の自分は何も経験できず、楽しくない日々になってしまうかもしれません。

だからこそ考えておきたいのは、自分は何にお金を使いたいかです。残念ながら収入には限りがありますので、あれもこれも使えるとはなりません。「これだけは譲れない!」というのを意識しておくと、自分の好きなことにはお金を使えて、満足度も高い暮らしになります。

暮らす場所である住まいにお金をかけたい人。旅行にお金をかけたい人。身につけるものにお金をかけたい人。友人との飲み会や食事にお金をかけたい人。勉強にお金をかけたい人。何に価値を感じるかは千差万別です。

人に流されるのではなく、自分がお金をかけたいことをしっかりと意識しましょう。

一番の敵は日々の「なんとなく買っちゃった」

自分が何にお金を使いたいのか、意識しないまま暮らしていると「なんとなん買っちゃった」が、日々のお金の使い方になってしまいます。1回ずつの金額は大した額ではなくとも、日々積もる「なんとなく」は、結果的に大きな金額になってしまいます。

それには趣味や嗜好品だけではなく、例えば家に必要となりそうな洗剤や調理器具なども含まれています。なんとなく買った洗剤や調理器具が家の中にたまっていれば、それは無駄に使ってしまったお金にもなります。

欲しいと思ったものや実際に買ったものが、イコール必要なものではありません。何かを買おうとするとき、「これは今の自分にとって本当に必要?」と自分に問いかけてみてください。自分にとって必要か否か考える習慣がつくと、「なんとなく買っちゃった」となる無駄遣いが一気に減っていきます。

本当に自分が欲しいと思うものを我慢するのは、精神的な圧迫が残ります。しかし、そんなに必要ではないものに対して買うのを辞めることは、我慢はありません。自分にとって必要なものだけを買う習慣がつけば、満足感も得られて、無駄遣いも減っていきます。

「そんなに上手くはいかないよ……」と思われるかもしれませんが、まずは自分がお金を使いたいこと、自分にとってお金を使う必要があるものを意識してみてください。その状態を何年か続ければ、貯蓄が少しずつでも増えてきて、目に見えない不安に圧迫されることもなくなるのではないでしょうか。

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