米原潜用新岸壁を要望へ 停泊場所と住家近く 佐世保市が国や県に

 長崎県佐世保市は2022年度の基地や安全保障に関する国や県への重点要望事項として、米原子力潜水艦が寄港するための新たな岸壁整備を盛り込む方針を明らかにした。岸壁整備を要望するのは初めて。15日の市議会基地対策特別委員会で報告した。
 米原潜の国内での寄港地は、佐世保と原子力空母の母港である横須賀、在日米軍基地が集中する沖縄の計3カ所。佐世保では佐世保港の赤崎岸壁に停泊している。
 国は「原子力艦の原子力災害対策マニュアル」において、原潜で放射線漏れなどの事故が起きた場合に移動避難が必要な範囲を、停泊場所から半径500メートルに定めている。
 佐世保市によると、原潜の停泊場所から半径500メートル以内に住家があるのは佐世保市だけで、約260人が居住しているという。そのため市は、居住地域から半径500メートル以上が確保できる米軍施設内に、原潜が接岸する岸壁の整備を求める。市はすでに複数の場所を想定しているが、「国が実施の意向を示してから場所の選定をしていく」としている。
 佐世保の米原潜寄港を巡って市は国を通じて米軍に対し、毎年実施している防災訓練への参加を要請しているが「原潜は安全で放射能漏れは起きない」として拒否している。そのため重点要望には訓練への参加も盛り込む方針。


© 株式会社長崎新聞社