防衛協力で経済・雇用効果拡大へ 佐世保市、基地政策の新たな方針

 基地政策を巡り長崎県佐世保市は15日、米軍への提供施設の返還による経済浮揚を目的にした「佐世保港長期総合計画」を廃止し、防衛政策に積極的に協力し、経済・雇用面での効果を拡大していく新たな方針を明らかにした。本年度内に市議会基地対策特別委員会を開き、了承を経て正式決定する予定。
 同日の市議会全員協議会で市基地政策局が説明した。同局などは、軍拡を急速に進める中国への対処を念頭に佐世保地区の役割が「今後大きくなっていくと考えられる」と強調。新たな方針では、自衛隊による施設整備や部隊配備に協力支援をしていく。米海軍佐世保基地については「よき隣人」と表現。関係維持のため基地運用などを巡る情報共有に取り組むという。
 経済・雇用面では、防衛政策への協力による効果を拡大していく構え。防衛関連工事の市内企業による受注増へ向け、国への要望を続ける。英語教育推進のため「米軍基地との連携」も掲げた。
 同計画を根拠に市は米軍への提供施設の返還などを求める「新返還6項目」を国へ要望してきた。佐世保弾薬補給所(前畑弾薬庫)の移転・返還など実現していない課題については要望を継続するという。
 全員協議会では、防衛政策への積極的な協力姿勢に関し「佐世保市はいつでも理解してもらえる。(交渉に関しても)お人よしと映るのでは」「(市に)受け身の姿勢や国への過剰な忖度(そんたく)が生まれないか」と危惧する声が上がった。また、従来も協力してきたにも関わらず恩恵が十分でないとの指摘もあった。
 長期総合計画を巡っては、策定された約50年前と比べ状況や展望に乖離(かいり)が生じているとして市議会が昨年3月、市議会が改訂を市に提言していた。


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