99年採集のハゼ標本、実は日本初記録種 横須賀市自然・人文博物館で展示 学芸員命名「モンロユタカハゼ」

奄美大島で採集したモンロユカタハゼ(萩原さん提供)

 神奈川県の横須賀市自然・人文博物館(同市深田台)が所蔵するハゼの標本が日本初記録であることが鹿児島大学との共同研究で分かり、2月28日発行の日本動物分類学会誌で「モンロユカタハゼ」の新しい和名とともに発表された。同館学芸員の萩原清司さん(58)らが1999年に奄美大島で採集したもので、同館で17日から展示する。

 標本は全長4センチの雄で、ユカタハゼ属の一種。一般的なユカタハゼの体表にある青や黄色の点がないのが特徴だ。これまでフィリピン以南の西太平洋熱帯域で確認されていたが、奄美大島での採集は最北での確認となった。

 萩原さんは大学時代から魚の研究に取り組み、ライフワークとして約30年間奄美大島に通って調査を続けてきた。今回の標本は同年11月に水深10メートルほどの海底の砂地で採集し、当時は民間研究所に勤務していたが、学生時代に研究で通った同館に寄贈していた。

 和名にはユカタハゼにちなみ、浴衣生地の紋絽(もんろ)から名付けた。萩原さんは多くの新種を発見しており、付けた和名は今回で13種目になるという。

 萩原さんは「南北に長い日本は世界の中でもハゼの種類が多く、多様に富んでいる。研究者として魅力のある魚」と話している。

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