SDGs実現へのヒント、詩画集に 小中学校に寄贈へ 対馬の武田さん

SDGsを伝える詩画集を出版予定の武田さん=対馬市上県町

 国連の持続可能な開発目標(SDGs)の17のゴールを、色鮮やかな水彩画と心に響く詩で分かりやすく伝えようとする人が長崎県対馬市にいる。上県町佐須奈の元会社員、武田暢博さん(64)。制作した約60枚の詩画は自費出版して市内の全小中学校に寄贈する計画で、「本を通し、SDGs実現に向けたヒントを得てほしい」と話している。
 武田さんは福岡市で働いていた2002年ごろ、趣味で詩画の創作を始めた。これまでに東日本大震災の被災地に思いを寄せた作品を収録した詩画集など6冊を自費出版。会社を退職した18年、実家のある上県町へUターンした。
 SDGsに関心を持ったきっかけは、対馬市が開講するオンライン講座「対馬グローカル大学」への参加だった。同市は20年から、SDGs実現に向けた取り組みの一環として同講座を開始。島内外の受講生たちがオンラインゼミやウェブ講義を通し、SDGsの達成に向けた方策などを学んでいる。

SDGsのゴール6をテーマにした詩画

 武田さんは受講する中で、貧困や平和、環境など常日ごろから問題意識を感じていることがSDGsに直結していることに気が付いた。だが、SDGsが掲げる目標の期限は30年。「今、行動を起こさないでいつやるのか」-。そんな思いに駆られ、得意の詩画でSDGsを発信することにした。
 17のゴールごとに詩画を制作。例えばゴール6「安全な水とトイレを世界中に」では、水道の蛇口の絵に「いつでもどこでもおいしい水を飲める世界を作ろう」との思いを込めた詩を添えた。ゴール14「海の豊かさを守ろう」は、アラカブ(カサゴ)が海を汚さないでと訴える詩画。このほか、対馬固有種で絶滅が危惧されるチョウ「ツシマウラボシシジミ」や島内で増加したシカ、イノシシの絵などを通し、環境保全などについても訴えている。
 詩画集の出版予定日は創作活動を始めてからちょうど20年の節目となる4月24日。「現状のままではSDGsは達成できないが、一人一人が自分にできることを意識して協力し合えば何とか達成できるはず。本を通し、一人でも多くの人にSDGsへの関心を持ってほしい」。武田さんはそう願っている。


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