長引くコロナで夫の残業代減、妻も失業予定「節約を始めたが生活が窮屈でつらい」

読者のみなさんからいただいた家計や保険、ローンなど、お金の悩みにプロのファイナンシャルプランナーが答えるFPの家計相談シリーズ。
今回の相談者は、44歳パートの女性。コロナの影響で夫の残業代がなくなり、相談者もパートを退職せざるをえなくなったといいます。収入減に合わせて節約生活を始めたものの、生活がつらくなり、家庭の雰囲気も険悪に。これからどう対応していけばいいのでしょうか? 家計再生コンサルタントの横山光昭氏が運営する『マイエフピー』のFPがお答えします。


今までコツコツと貯めてきました。ですが、昨今の自粛生活により、夫は残業代が全部なくなり、私はパート先を辞めなくてはいけなくなり、職場探しをしなくてはならなくなりました。夫婦それぞれ収入が減っているため、これからどう対応していけばよいのか、不安に思っています。

とりあえず、収入減に合わせるために、節約を始めました。ただ、節約の仕方が悪いのか、いつも切羽詰まったような、キュウキュウとした感じがしており、このままだと生活も楽しくないし、家族関係も悪くなる可能性があるのでは?と思っています。

子どももいるため、収入が減ってもなんとか家計と貯金を守り、家族の今と将来の生活を守りたいと思っています。

ちなみに、資産は貯金が多いのですが、夫は投資に興味を持ち、iDeCoやNISAをしています。私は独身時代に、運用をしたことがありますが、リーマンショックを経験した時に不安になってしまい、今はやめてしまっています。お金の置き場についても知りたいです。

【相談者プロフィール】

・女性、44歳、パート

・夫:45歳、会社員 ・長男、小4

・毎月の手取り収入:37万5,000円(相談者10万8,000円、夫26万7,000円)

・年間の手取りボーナス:約120万円(夫)

・毎月の支出の目安:28万8,000円

【毎月の支出の内訳】

住居費:8万2,000円(ローン)

食費:4万8,000円(外食含む)

水道光熱費:1万5,000円

通信費:9,000円(スマホ2台、固定電話、ネット)

生命保険料:3万2,000円

日用品代:6,000円

医療費:1,000円

教育費: 1万1,000円

交通費:3,000円

被服費:4,000円

交際費:3,000円

娯楽費:1万円

こづかい:3万円(夫2万5,000円、妻5,000円)

その他:3万4,000円

【資産状況】

・普通預金:約600万円

・定期預金:約400万円

・iDeCo、NISA:約65万円

FP:収入が減った、これから減る見込みとなると、家計の調整が必須となります。無理に節約をして帳尻を合わせるというよりは、支出をコントロールして理想の金額になるようにしていくことが理想です。相談者様の家計について、考えてみましょう。

苦痛を伴う節約ではなく、緩やかなコントロールを

支出額をみていると、非常に上手に支出を管理されていると感じます。相談者様の収入が一定期間途絶え、夫の収入だけで暮らすことになったとしても、貯金で補てんしながら何とか乗り切れるのではないかと思えます。

ですが、今は節約を頑張りすぎて窮屈に感じていらっしゃるのですよね。その費目については、もしかすると我慢をしている感が強いなど、取り組み方がよくないのかもしれません。

恐らく、相談者様の失職に備え、支出を夫の収入に合わせておこうということなのかもしれませんが、少し落ち着いて、支出の下げ方が現状でよいのか、検討してみましょう。

食費や日用品代については、通常だと無駄が出ている状態だというのなら、その削減はよいと思います。ですが、急に料理の量を減らしたり、おかずの数が減った、お菓子も買わなくなった等が重なれば、「食べるものがない=なんだかひもじい」となるでしょう。

今はまだ相談者様の収入もあるようですし、余剰金も十分あるように思いますから、無理をせず、ご家庭で絶対に支払いたい、必要であると思える支出はしっかりと払い、さほど必要ではない部分は思い切ってカットするという調整をしていきましょう。お金を使うときは、楽しんでコントロールができるといいですね。

このやり方だと、もしかすると今ほどの支出削減にはならないかもしれませんが、生活が苦しいと感じることが少なく支出をコントロールできると思います。もし、相談者様が失職し、収入が途絶えてしまったら、夫の収入を中心に貯金で補填しながら、新しい職場を探すようにしてもよいと思います。

「貯金が十分できなくてもいい」というゆとりを持って

今は、ご時世的に収入は増える要素がなく、それなのに物価が上がっているのですから相談者様のご家庭のような悩みを抱えた方は少なくありません。家計が赤字にはならなくても、貯金が増えないと、教育費のこと、老後のことなど、今後の生活について不安になりがちですが、あまり焦らずにいきましょう。

相談者様は、新しい職場を探す予定ですから、また収入アップできる時期が来るはずです。幸いなのは、ご家庭にはすでに「生活防衛資金」となる貯金がしっかりとあること。この貯金は、今おかれているような「想定外の減収」の時に活躍するお金でもありますから、再就職できるまで貯金をあまり減らさないような暮らしを意識しながらも、不足額は生活防衛資金に助けてもらう、と割り切ってよいのではないでしょうか。

再就職されてから、また貯金額が増やせるよう、支出のコントロールについて検討すればいいのです。悲観しすぎないようにしましょう。

毎月の収入は減りますが、夫のボーナスは例年通り維持されるようでしょうか? 毎月貯金できないのであれば、ボーナスの使い方も意識し、ボーナスから貯金に回してもよいと思います。すると、今の不安も、薄れていくかもしれません。

老後資金作りには運用の検討を

ご夫婦お二人とも40歳半ばですから、老後資金作りに向け、投資には取り組んでいただきたいと思います。ただ、相談者様はリーマンショックを経験し、投資をやめてしまわれたのですよね。投資にあまりいいイメージがないのかもしれませんが、今は貯金だけではお金が増えないので、長い目で見ると、投資信託に投資をしていくことは有利です。期間が経てば経つほど複利でお金が増えていくので、定年まで貯金だけに取り組んだ場合よりも、投資で運用した場合のほうが資産を大きく育てられる可能性が高いのです。

リスクを低く抑えながらリターンを増やしていくためには、投資の方法が大切です。あまり面白みがないという方もいますが、投資信託のインデックスファンドへの定期的な積み立を継続していくことが最善です。急に大きく増えることはなくても、損もしにくくなるため、リーマンショックやコロナショックといった株価が下落するような時も、長期的には乗り越えていくことができるでしょう。

今は一時、大変かもしれません。ただ、今だからできること、考えられることがありますから、ぜひ、それらを検討し、実行していただけたらと思います。

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