黒い雨救済 新基準通知 長崎対象外「不公平」 県内の被爆体験者憤り

 広島原爆の「黒い雨」被害者救済に向けた被爆者認定の新基準について、長崎県と長崎市に被爆者認定を求める訴訟の原告、岩永千代子さん(86)=同市=は「内部被ばくしたのは広島も長崎も同じなのに不公平。ふに落ちない」と改めて憤りを語った。
 岩永さんは「高齢の人が多い中、広島で救済が広がる見通しができたのは良いこと」と一定評価。一方、広島の黒い雨訴訟で広島高裁は、雨を浴びていなくても放射性微粒子を体内に取り込む「内部被ばく」で健康被害を受けた可能性に言及しており「国は長崎が広島と違うというなら、私たちが内部被ばくしていないと立証すべき」と語った。
 被爆体験者の救済を目指す県と市は現在、同省と課題整理に向けた実務レベルの打ち合わせを続けている。市調査課の林尚之課長は「体験者が救われる形で作業を進めていきたい」、県原爆被爆者援護課の山崎敏朗課長は「広島県・市とも情報交換し、長崎も新基準第2弾に盛り込まれるようにしたい」とそれぞれ述べた。


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