選抜高校野球 長崎日大 惜敗 延長13回、近江に逆転負け

【1回戦、近江-長崎日大】8回0/3を2失点と力投した長崎日大のエース種村=甲子園

 第94回選抜高校野球大会第2日は20日、甲子園球場で1回戦3試合が行われ、長崎日大は延長十三回タイブレークの末、近江(滋賀)に2-6で逆転負けした。
 近江はコロナ禍で出場辞退の京都国際に代わって急きょ繰り上げ出場となっていた。長崎日大は六回2死二塁から、河村が左翼手の頭を越える適時二塁打を放って先制。白川も右越え適時二塁打で続き、2点を先行した。先発種村は八回まで無失点と力投。九回に1点を返され、なお無死一、三塁で川副が救援したが、2死一、二塁から適時打を浴びて追いつかれた。延長十三回は無死一、二塁から勝ち越しを許し、ミスも重なり4失点した。

□エース種村 抜群の制球力 8回0/3を2失点

 九回あと1球から追いつかれ、タイブレークで力尽きた。やっぱり甲子園は簡単には勝たせてくれなかった。それでも今季、指導陣から「弱い」と言われてきた長崎日大の成長は見事だった。昨夏の甲子園4強の近江を相手に大健闘した。
 エース種村がプロ注目の相手右腕に投げ負けなかった。「緊張や不安もあったけど、一番はわくわくした気持ちだった。攻めていけた」。完全なボール球は少なく、内角と低めを中心にコーナーへ巧みに出し入れした。攻撃で好機を生かせず、ゼロ行進が続いても「点を取られた方が負け。自分は取られない」とぶれなかった。

試合後、アルプス席の応援団にあいさつして引き揚げる長崎日大の選手たち=兵庫県西宮市、甲子園球場

 球速140キロ台中盤の近江の山田に対し、種村の直球は130キロ前後。それでも90キロ台のカーブで緩急を生み、チェンジアップやカットボールも効果的に織り交ぜた。バットの芯をずらした相手は八回までに実に17飛球でアウトになり、二塁を踏ませたのは一度だけ。球速がなくても制球力で戦えることを体現した。
 2ー0で迎えた九回は「“抑えれば勝ち”という違う気持ちが入ってしまった」と長打と与死球と単打で1点差に迫られて無念の降板。「投げきれなかったのは反省」と唇をかんだが、十分に役目を果たし、冬場に必死に鍛えたチームの成果を象徴する好投だった。
 今後は“甲子園組”として臨む九州大会(4月23~28日・宮崎)などを経て、あっという間に本番の夏がやってくる。悔しさに加えて“練習はうそをつかない”という確かな自信も胸に、背番号1は「また帰ってくる」と力強く前を見据えた。


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