思いやりと優しさ「日本一」 海老名のタクシー会社が人気を呼ぶ訳

ドアを開け、乗客を見守る運転手の加藤さん(左)

 海老名市に、高齢者や子育て世代から細やかなサービスが受けられると定評のあるタクシー会社がある。「思いやりと優しさ日本一」をうたうハートフルタクシー(同市国分北)だ。人気の背景には何があるのか─。

 3月上旬、同社運転手の加藤知枝さん(39)は配車の依頼を受けて病院へ向かった。到着後、すぐにタクシーを呼んだ70代男性に駆け寄り、両手で体を支えながら車へ誘導。男性は、加藤さんを見ると安心した様子だった。乗車後も「少し揺れますよ」「寒くないですか」と声を掛けると、男性は「はい」と穏やかな声で返事した。

 2006年創業の同社が目指すのは「総合的な生活移動手段」としてのタクシーだ。内閣府の調査によれば、外出頻度が多い人ほど健康状態が良いことが分かっている。一方、公共交通機関の利用が難しいことや移動への不安など、さまざまな理由で外出を控える人も少なくない。篠原俊正副社長は「どんな人でも外出できる社会をつくりたい。タクシーはまちに欠かせないインフラだと思う」と話す。

 利用者が求めていることは何か。突き詰めて考えた結果、外出が困難な顧客などの「買い物同行・代行サービス」、学校や保育園から自宅に子どもを送迎する「子育て支援タクシー」、急な陣痛に対応する「陣痛119番」などのサービスが生まれた。

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