長崎大レクナが電子書籍発行 核禁条約巡る論点を紹介

核禁条約の論文集について説明する山口氏(左)=長崎市文教町、長崎大核兵器廃絶研究センター

 長崎大核兵器廃絶研究センター(RECNA=レクナ)は、核兵器禁止条約に関する論文を集めた電子書籍「核兵器禁止条約を動かす」を発行した。6月に予定される同条約第1回締約国会議で取り上げるべき論点や課題解決に向けた建設的な提案、主張をまとめた。
 同大のオンライン国際学術誌「平和と核軍縮」に掲載した論文から10本を選んで翻訳した。著者は国連軍縮研究所の外国人研究員など。
 核保有国が核禁条約に参加する場合、核兵器を確実に廃棄したかどうかを検証できる体制づくりが課題となる。掲載論文は、さまざまな補助機関の設置を提言したり、参加後の実務的な廃棄プロセスを紹介したりしている。「条約が非保有国との関係を分断する」という核保有国側の批判に対する論文は、既に核兵器を巡って世界が分断され、結果として核禁条約が生まれたと反論している。
 監訳したレクナ戦略職員の山口響氏は会見で「締約国会議を控え、条約を動かしていく局面にあることをタイトルに込めた。条約に懐疑的な人にも読んでもらいたい」と語った。
 通販サイト「アマゾン」で250円で購入できる。


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