「核共有」政策の導入議論に抗議 長崎の被爆者5団体「世界を脅威にさらす」

日本への「核共有」政策の導入に反対する会見を開いた被爆者5団体の代表者ら=長崎市役所

 ロシアのウクライナ侵攻をきっかけに、日本の与野党の一部から米国の核兵器を日本に配備し共同運用する「核共有」政策の導入を議論すべきとの意見が出ていることに対し、長崎の被爆者5団体の代表者らが25日、抗議会見を長崎市内で開き、「核兵器による威嚇が国際平和に有効だとの誤った考えを広げ、世界中を核兵器の脅威にさらす」などと批判した。
 県平和運動センター被爆者連絡協議会の川野浩一議長(82)が声明文を読み上げ「核兵器をなくさなければ人類は消滅する。核抑止力の共有で、自国だけ生存できるとの誤った考えを改めて」と要求。声明文は自民党と日本維新の会の本部などに郵送した。
 会見で長崎原爆被災者協議会の田中重光会長(81)は「日本に核兵器があれば相手が核基地に攻撃を仕掛ける危険度は増す。国民を核戦争の危険にさらすことになり、核共有は絶対に避けなければ」と強調。県被爆者手帳友の会の朝長万左男会長(78)は「核兵器廃絶が夢のまた夢になる」と訴え、会見後の取材に、被爆者団体や平和団体が核兵器禁止条約の推進などに共同で取り組む新たな枠組みづくりを進めていると明らかにした。


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