“球友”へ天国からエール YASSさんが追悼ライブ 急逝の壱岐高生しのぶ

怜聖さんのユニホームと写真を囲んで写真に納まるYASSさんとチームメート=壱岐市、壱岐高コモンホール

 長崎県立壱岐高(壱岐市郷ノ浦町)野球部だった辻村怜聖(りょうせい)さんが2020年9月、遠征先の大村市で倒れ、亡くなった。福岡市を中心に活動する音楽ユニット「ビーグルクルー」が好きで、よく歌を口ずさんでいた怜聖さん。今月、怜聖さんのことを知ったビーグルクルーのYASSさん(38)が壱岐でライブを開催。“球友”たちが集まり、しのんだ。
 怜聖さんは当時17歳。ポジションはレフト。副主将になり、「これから」という時に突然の病でこの世を去った。父勝さん(57)は息子がよく口ずさんでいた歌を思い出し、ネットで検索。YASSさんのソロユニット「ビーグルクルー」の曲だと分かった。しかもYASSさんは野球が好きで、高校球児に生歌とCDを届ける活動をしていることも知った。
 勝さんは、息子が夢半ばで急逝してしまったこと、チームメートが息子のぶんまで頑張って県大会ベスト8の成績を残してくれたことなどをつづって応募。YASSさんが感銘を受け今回のライブが実現した。
 当初想定していた卒業式でのシークレットライブはまん延防止等重点措置の期間中でできなかったが、YASSさんは「怜聖さんのために歌いたい」と他の仕事をキャンセルし、14日、壱岐高のコモンホールで開催にこぎ着けた。

「17の輝跡」を弾き語りで歌うYASSさん

 会場には勝さんと妻真由美さん、怜聖さんの弟泰聖さん(12)の他、野球部32人と保護者、学校関係者計約80人が集まった。最前列のいすには、怜聖さんのユニホームが掛けられ、写真が置かれた。
 YASSさんは人気曲「マイヒーロー」「スタンドアップ」を熱唱。勝さんが怜聖さんへの思いを書いた詩を元に作曲した「17の輝跡」を弾き語ると、すすり泣きが漏れた。最後は怜聖さんがいつも口ずさんでいた曲「チームメイト」だった。
 今春、卒業を迎えた怜聖さんのチームメートたち。怜聖さんのために卒業証書を手作りして、辻村さん親子に手渡した。あいさつに立った勝さんは涙声でこうあいさつした。
 「今日、怜聖はここにいます。卒業する皆さん、後輩の部員の皆さん、今日のライブはお世話になった皆さんへの怜聖からのお礼とエールです」


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