高校生のAV出演強要「既存法で対応」 首相答弁に野党批判「前内閣から後退」

岸田文雄首相(資料写真)

 成人年齢引き下げで高校生のアダルトビデオ(AV)出演強要への歯止めがなくなる問題を巡り、28日の参院決算委員会で論戦があった。「既存の法律の適用で対応する」との岸田文雄首相の答弁に野党は「立法措置を検討するとした前内閣の方針から後退した」と批判した。

 来月1日施行の改正民法で成人年齢が引き下げられ、18歳になれば親権者の同意を得なくても契約を結ぶことができる。18歳と19歳は親権者の同意のない契約を取り消す「未成年者取消権」の対象外となる。

 「AV出演強要被害が高校在学層にまで広がる」との懸念が教育界などから指摘される中で、菅義偉前首相(衆院2区)や上川陽子前法相らは「被害防止に向けた立法措置を検討する」と説明していた。

 立憲民主党の塩村あやか氏は「18歳以上の高校生のAV出演が解禁されるのと同義だ」と指摘。「政府として未成年者取消権と同じ効果の立法措置をとるべきだ」とただした。

 古川禎久法相は「成人を対象にした既存法律で対応する」と答弁。岸田首相も「教育啓発を進めつつ、法律の中で最大限やれることは追求する」と付言した。

 塩村氏は「前内閣の姿勢から大きく後退し驚いた」と批判。塩村氏は超党派議員による対策立案の議論が始まっていることを挙げ、「本来は内閣が継続性を持って進めるべき課題。無責任だ」と述べた。

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