元中日右腕の次男は「自主練習したことない」 大人びた思考から漂う“大物感”

ドラゴンズジュニアの一員として活躍した朝倉陸くん【写真:川村虎大】

元中日・朝倉健太氏の次男・陸くん、中日Jr.の一員として大会3HR

父と同じユニホームは、やっぱりよく似合う。昨年末に行われた「NPB12球団ジュニアトーナメント KONAMI CUP 2021」で、優勝した中日ドラゴンズジュニアの背番号14は、決勝で2本塁打を放ってみせた。中日で通算65勝を挙げた朝倉健太氏の次男・陸くん。顔が父そっくりとファンの間で話題になったが「お母さんに似てるって、みんなからは言われます」。はにかむ姿は小学6年生らしいが、野球に向う姿勢は大人びている。

【映像】父の健太氏にそっくりと話題…中日Jr.で朝倉陸くんが放った痛烈な弾丸ライナー弾

2015年限りで引退した父の現役時代は、おぼろげながら記憶にある。プロ野球選手と言うより「普通にお父さんが投げている感じでした」。ただ、観衆に囲まれたマウンドに立つ姿はまぶしく「自分も同じ中日でやりたいなと思いました」。セレクションを受け、本家と同じユニホームを着ることができる中日ジュニアの一員に。全国から有望な小学6年生が集う大会で、計3本塁打の結果を残した。

幼稚園のころから当たり前のように始めた野球。普段の所属チームでは、主に二塁か投手だが「バッティングの方が楽しいです」とニコリ。周囲から父と同じ投手の道を勧められることもないといい「チャンスでホームランを打って、みんなが大きい声で『おお!』とか言ってくれるのが、とても嬉しいです」と言う。

中日ジュニアで監督を務めた元内野手の湊川誠隆氏も「勝負強い」と認めるシュアな打撃が魅力。その源は独自の練習にあるのかと思いきや「自主練習はしたことないです」とさらり。野球をするのは、所属チームが活動する土日だけ。「やらなくていいと思っているわけじゃなくて、ずっとバッティングの調子も良かったので」と振り返る。

平日の自主練なしは「土日になると切り替えができる」

平日は、学校が終わると「遊びに行ったり、ゲームをやったり」。自宅などで自主練習に励むチームメートもいるが「焦ることもないです」。周囲に流されず、自分らしいルーティンを確立。「土日になると切り替えが結構できます」。オンとオフを区別すると、より野球へのスイッチが入りやすいと早くも感じている。

そんな陸くんが、初めて個人練習に励んだ時期がある。ジュニアトーナメントの大会前に打撃で結果が出ず、本来の二塁から左翼に回った。「本当に調子が悪かったので、その時は練習しました」。レベルの高い選手たちが集う中日ジュニアで味わった競争。必要に迫られた自主練の成果は、大舞台で発揮された。

この4月から中学生になり、強豪の「愛知尾州ボーイズ」に所属する。今描く選手像は、ヤクルトの山田哲人内野手のような姿。「どこでも守れて、どんなピッチャーでも強い打球で打ち返して、チャンスに強いバッターになりたいです」。淡々と冷静に野球に向き合いながら、父が戦った華やかな舞台を目指していく。

【映像】父の健太氏にそっくりと話題…中日Jr.で朝倉陸くんが放った痛烈な弾丸ライナー弾

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(小西亮 / Ryo Konishi)

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