長崎県被爆者手帳友愛会、3月末で解散 高齢化や会員減、財源不足で

 長崎の被爆者5団体の一つ「県被爆者手帳友愛会」が29日、今月末で解散することを明らかにした。1979年に結成し、計5団体になって以降の解散は初めて。会員の高齢化や減少、財源不足が理由。被爆77年を迎え、核兵器廃絶運動や被爆者援護の中核を担ってきた団体の存続が難しくなっている。
 5団体は他に、結成が古い順に▽長崎原爆被災者協議会(長崎被災協)▽長崎原爆遺族会▽県被爆者手帳友の会▽県平和運動センター被爆者連絡協議会。
 友愛会は79年8月、友の会の一部会員が分離する形で結成、5団体となった。国が定めた被爆地域の拡大や、同地域外で原爆に遭い被爆者と認められない「被爆体験者」救済などに力を入れてきた。一時2万人以上いた会員は現在、被爆者と体験者で計500人程度という。
 友愛会によると、永田直人会長(89)が1月、体調不良などのため辞任を申し出たが、3人の副会長ら役員にも後任を引き受けられる人がいなかった。会費収入の減少による厳しい財政状況もあったことから、役員会で解散に向けた議論を始め、会員向けに解散に関する意向調査も実施。おおむね異論はなく、2月上旬の役員会で解散を決めた。意向調査では約130人の会員が、友の会への入会を希望したという。
 永田会長は「核兵器廃絶や被爆体験者の救済が終わらないまま解散することは非常に心残り。ただ役員も高齢化していて、これ以上の継続は厳しかった」と吐露する。体調不良が続く永田会長の代理として、5団体の活動などに参加してきた濵田眞治副会長(84)も「(自身や家庭の事情などで)どうしても会長に就ける人がいなかった。非常に残念だが、解散するしかなかった」と悔しさをにじませた。役員らは30日に会見を開き、解散の経緯などを説明する。


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