「ラッキー」を否定するとお金が逃げていく?お金持ちがやらないNG行動とは

お金持ちになれる人となれない人では、日々の行動にどんな違いがあるのでしょうか?

経営コンサルティングとしてオーナー経営者を中心に多くの富裕層に接し、自身も事業と投資で富裕層となり、億単位の資産を株式投資で運用する個人投資家でもある経済評論家・加谷 珪一氏の著書『150人のお金持ちから聞いた 一生困らないお金の習慣』(CCCメディアハウス)より、一部を抜粋・編集してお金持ちがやらないNG行動を紹介します。


「そんなこと知ってるよ」と言ってしまう

人から話を聞いたり、本で何かを読んだりしたときに「そんなこと知ってるよ」と思うことは多い。だが、「そんなこと知ってるよ」という思考回路は、自分からお金を遠ざけてしまう原因になっているかもしれない。

同じ話を何回も耳にする理由

「そんなこと知ってるよ」と思ってしまうのは、その話を何回も聞いたことがあるか、話の内容自体が陳腐だからかのどちらかである。もしかしたら両方かもしれない。だがそもそも、何回も聞いたことのあるような話が、なぜ繰り返し取り上げられるのだろうか? その理由は2つしかない。

ひとつは、話の聞き手にとって受け入れやすい内容になっていて強いニーズがある場合。もうひとつは、その話が「真理」を表している場合である。

もし聞き手のニーズに合致している話であれば、そこには大きなマーケットが存在していることを意味している。

たとえば「社員が働きやすい会社は伸びる」といったような話がこれに相当する。社員が働きやすい会社が本当に伸びているのかどうかは不明である。ブラック企業に近い会社で好業績のところもあれば、社員の待遇はピカイチでも倒産しかかっている会社もある。だが会社員というマーケットは巨大であり、彼らをターゲットにしたビジネスはたくさん存在する。そこでは事実に関係なく、会社員の耳に心地よい情報が多用されることになる。

社員の耳に心地よい内容をちりばめたコンテンツ商品はもちろん、「社員が働きやすい会社作りをお手伝いします」というコンサルタント、よりよい職場環境を求めて転職を希望する人のための各種サービス、働きやすい会社のイメージを作り上げる広告宣伝など、数多くの事業チャンスが存在している。

「「社員が働きやすい会社は伸びる』なんて嘘っぱちだ」などと言っている場合ではないのだ。

真理をつかめば、後はやるかやらないか

聞き手の側にあまりニーズがないのに繰り返し登場する話には、かなり重要な「真理」が含まれている可能性が高い。内容が陳腐ならばなおさらである。

「利益を最大化するためには、売上を増やして、経費を少なくすればよい」といったような話がこれに相当する。売上を増やして経費を少なくすれば、利益が最大化するのは当たり前のことであって、そのことを聞かされても誰も驚かないし、喜びもしないだろう。だがこの話が、お金持ちになるための法則として、何度も何度も登場しているのであれば、それは傾聴に値するのだ。

つまり、多くの人がこの当たり前のことをできていないのでお金持ちになれないでいる。逆に言うと、これを実現できれば、間違いなくお金持ちになれるのだ。だとすると、売上を増やして経費を少なくするというのは、どんな犠牲を払ってでも実現すべき目標だということがわかってくる。実際にやってみると、人はいろいろな理由をつけて、この単純な法則を実現しようとしない。人間関係のしがらみ、人からよく見られたいというプライド、楽したいという怠け心など、実現を邪魔する要素は大きい。これらを思い切って断ち切ることができれば、お金持ちになれる可能性が高いにもかかわらずだ。

こういった情報はまさに「真理」そのものであり、お金持ちになれる人はこういった「真理」に関する情報を見逃さない。そして恐れることなく実行する。一方、お金持ちになれない人は、こういった情報を安易にやり過ごしてしまう。

ラッキーであることを否定する

お金持ちのなかには、非常にラッキーな人がいる。思いつきで始めたビジネスが大当たりするような人は少数だが存在している。このような人に対する評価はおおむね以下のようなものだろう。

「ラッキーだっただけだよ」
「どうせ偶然でしょ」

さらにはこんな声も聞こえてくる。

「努力しないで手にした成功からは何も得られない」

たしかにその通りなのだが、ラッキーな人に対してそのような評価を下している人は、とうていお金持ちにはなれない。それはなぜか?

対照的な2人をどう評価するか

外資系のIT企業に勤めるビジネスマンたちが、半年前に辞めていった2人の同僚について話をしている。2人は同じ時期に会社を辞めて、それぞれ新しい会社を設立していた。このうちAさんは有力なパートナーを見つけ、一気に事業が拡大しつつあった。対してBさんの方は、資金調達に手間取り、本格的な事業を開始できないでいる。

Aさんはその有力なパートナーを、奥さんの友人のパーティで知り合った人からたまたま紹介された。

この情報を知ったときの社内の反応は対照的であった。ひとりはAさんについてこうコメントした。

「Aさんはすごいね。そんなふうにしてパートナーを見つけるなんて」

だがもうひとりは、まったく異なる反応だった。

「Bさんはがんばったのに可哀想に。Aさんはホント、ラッキーだよな」

ひとりは、Aさんが偶然に有力なパートナーを見つけ、事業化までこぎつけたことを高く評価している。ラッキーであることをプラスに評価している。これに対してもうひとりは、報われなかったBさんに同情し、Aさんがうまくいったのは単なる偶然であると切り捨てている。

がんばったご褒美を期待するのは「使われる人」の証拠

お金持ちに言わせると、この会話をしているビジネスマン2人の将来には、決定的な違いが訪れる可能性が高い。Aさんの状況をプラスに評価した人には大金を稼ぐチャンスが訪れるかもしれないが、Bさんに同情した人には、あまりそのチャンスは巡ってこないだろう。

Bさんに同情した人の最大の問題は、「使われる人の発想になっている」ということである。がんばったのにうまくいかず可哀想という考え方は、がんばったらご褒美が与えられて当然という考えの裏返しである。だが、ご褒美をもらえるという考え方そのものが、人から使われる人の発想なのである。Bさんに同情してしまった人は、自覚していないが無意識のうちに、ご褒美をくれる誰かを想像しているのである。

ご褒美を期待する人は、与えられたゲームの中でしかプレイすることができない。そのような人はたとえ実業家になったとしても、平均的な水準しかお金を稼ぐことはできないだろう。しかもこのような人の多くは、自分が他力本願で、使われる人の発想を持っていることを自覚しておらず、状況はさらに複雑だ。

これに対してAさんを評価できた人は、偶然がもたらすパワーの恐ろしさをよく知っている。人と違うことをしないと大金は稼げないことや、そのためには偶然の出会いも確実にお金に変えていく貪欲さが必要だということを、皮膚感覚として理解していることになる。

お金持ちを目指す以上、仕事の能力があるのは当たり前であり、勝負はそれを超えたところで決まる。運を味方につけることができたAさんは、実業家としてのパスポートを手にした人なのである。

著者 加谷 珪一

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