林外相の訪欧、自民・河野氏がツイッターで好アシスト 野党とのやりとり「実況中継」

河野氏の提案を巡る立民幹部とのやりとり=同氏のツイッター

 林芳正外相が1日、ポーランド訪問と北大西洋条約機構(NATO)会合への参加に向け出発した。円滑な訪欧実現の裏には外相経験者である自民党広報本部長・河野太郎氏(衆院神奈川15区)のアシストがあった。自身が得意とする短文投稿サイト「ツイッター」で野党に訴え、国会審議などでの配慮を引き出したのだ。

 同外相が委員会答弁などを優先すれば、一時帰国してすぐに再度離日という強行軍を余儀なくされるところだった。与野党交渉の舞台裏をソーシャルメディア(SNS)で明かしたことで「究極の情報公開を実現した」(自民党幹部)との評価も高まっている。

 ウクライナへのロシア軍事侵攻への対処のためのポーランド訪問には当初、首相特使として古川禎久法相が派遣される予定だった。同法相に新型コロナウイルス陽性者との濃厚接触の疑いが出て急きょ、林外相に差し替わった。

 しかし同外相は今月初旬にベルギーで予定されているNATO会合への参加を事前に決めていた。一方で国会では6日に外務省関係の国会審議が組まれていた。

 河野氏はツイッターで「ポーランドへ行って4月5日夕方に帰国して6日に外務委員会をやって、その夜からNATO外相会合にまた行くことになるのでは」と懸念を表明。「会合に間に合えば良いというものではない」とした上で、「みんなが集まるならば、その場で他国の外相同士で話をしたり情報交換することが大事。いろいろな物事が動く場に日本の外相がいないのは痛い」と欧州にとどまり外相会談に臨むことが望ましいと訴えた。

 立憲民主党の寺田学国会対策委員長代理が反応。ツイッター上で「外相は一時帰国しないでも良い。国会審議も柔軟に対応する」と党内をまとめた旨を報告した。同党の泉健太代表も「林外務大臣が一時帰国せずに欧州外交で力を発揮できるよう国会対応に協力します」とツイート。河野氏も「ありがとうございました」と返すなど、一連のやりとりが実況中継のようにオープンになっている。

 自民党の国対関係者は「SNSをきっかけに与野党合意が迅速に調って本当に助かった」と謝意。一方、岸田文雄首相に近い自民衆院議員は河野氏が総裁選で争った相手で、林外相が岸田派所属であることを踏まえ「敵に塩を送られた。根回しや交渉が苦手とされる河野氏の弱点がこんな形で克服されようとは…」と複雑な思いを明かした。

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