年収300万から目指す「FIRE入門」、貯金ゼロや子育て中、50代でも可能?気になる疑問にお答え

働き方や生活スタイルが多様化する中で、「仕事から解放されたい」「自分の好きなスタイルで働きたい」と考える人が増えています。そんな中で今、注目を集めているのが「FIRE(ファイア)」です。

FIREは、経済的自立(FI)を成し遂げ、早期リタイア(RE)を実現する米国発のムーブメントです。もしあなたが、お金のために働いたり、お金の不安に悩まされたりしているのなら、FIREへの一歩を踏み出してみませんか?

今回はFIREにまつわるお悩み相談をQ&A形式で解説していきます。


Q.貯金ゼロからFIREを目指すことはできますか?(20代・独身・会社員)

A.もちろん可能です。ただし、生活防衛費を貯めてから早めに投資を始めましょう!

投資は早いほど有利だが余剰資金で始めるのが鉄則

新卒で入社して数年の間は、給与が少なく家計管理も不慣れで、お金がなかなか貯まらないものです。でも、資産運用において若さは大きな武器。20代でFIREを目指すのは、かなり有利です。というのも、投資では複利のパワーが働き、運用期間が長いほどお金が増えるからです。

「いちからわかる! FIRE入門」より

だからといって、貯蓄ゼロでいきなり投資を始めるのはNG。投資は「余剰資金」で行うのが鉄則です。まずは、生活防衛費を貯めましょう。生活防衛費とは、生活費の不足や冠婚葬祭、医療費など突然の出費や、収入が途絶えたときなどに備えるお金のこと。目安は会社員なら手取り月収の3カ月分、自営業なら6カ月分です。

生活防衛費が貯まったら、いざ投資にチャレンジ! 長期投資の複利効果を活かすためには、投資を始めるタイミングに悩むよりも、早く始めるのがおすすめです。

お金を貯める絶対的ルール「先取り貯蓄」をしよう

給料が振り込まれたら、ネット銀行の自動資産移動サービスなどを利用して貯蓄したい額を別口座に移し、残ったお金でやりくりを。この「先取り貯蓄」なら確実にお金を貯められます。

Q.夫婦でFIREを達成するには何が必要ですか?(20代・既婚・夫婦共に会社員)

A.夫婦で力を合わせることが大切。人生の優先事項5つは必ず洗い出しましょう!

FIRE計画の前に夫婦で話し合うべき5つのこと

(1)お互いの今の資産
FIREするには夫婦の協力が不可欠。お互いのお金事情を隠さず共有しましょう。

(2)お互いの今やりたいこと
FIREのために若いときにしたいことを犠牲にすると、後々後悔するかもしれません。

(3)マイホーム購入か賃貸か
家の購入は人生最大の買い物とも言います。ライフプランと共に考えておきましょう。

(4)子どもの将来(教育費)
FIRE資産の他に教育費の準備は必須。かかる費用をどう準備するか早めに検討を。

(5)FIRE後何がしたいのか
明確な目標があればこそ頑張れるもの。お互いの夢や希望を書き出しましょう。

2人が同じ方向を向いてFIREを目指すのが大切

パートナーがいる場合、FIREを自分だけの意思で目指すことはできません。お互いの資産状況を共有し、FIRE達成に向けた話し合いをする必要があります。

たとえば、共働き夫婦でお財布を別々にしている場合は、家計簿アプリを共有するなどして、家計状況をお互いが管理できるようにします。

また、FIREのためには、毎日の家計を引き締めなければなりません。一方が「お金を気にせず毎日を楽しみたい」、「我慢ばかりでツライ」と不満を抱えることのないよう、したいことの優先順位を決めるのがおすすめです。

ライフプランのすり合わせも必須です。子どもが生まれれば生活費や教育費がかかり、マイホームを買うのであれば、そのお金も必要になります。そういった人生のイベントにかかる費用によってFIREの計画も変わります。

幸せなFIREを実現するためにも、ライフプランでどこにお金をかけて、どこを削るのかなど、お互いの優先事項を確認しておきましょう。

お金を増やしやすいライフステージがある

(1)子どもが生まれるまで
(2)子どもが小さい間
(3)子どもの独立後
と、人生には「貯め期」があります。共働き&フル勤務できる時期は、一番の貯め時!全力でお金を増やしていきましょう。

Q.子育てしながら、自分たちのFIREの夢も叶えたいです(30代・既婚・夫婦共に会社員)

A.子どもの教育費を準備しながらFIREの計画を立てましょう!

かかる教育費を考慮してFIRE計画を立てよう

子育てでは教育費にお金がかかります。実際のデータを見ると、幼稚園~大学まですべて公立に進学した最も安いパターンでおよそ783万円。もっとも高いオール私立だと、およそ2229万円かかります。

「いちからわかる! FIRE入門」より

基本的に高校までの教育費は家計から捻出し、大学資金は別で準備する必要があります。そのため、児童手当は大学費用として全額貯めておくとよいでしょう。そして、高校で私立高校に進学する場合は教育支援制度を積極的に活用するなど、情報収集と工夫に努めましょう。

なお、大学資金として奨学金を借り、子どもに返済してもらうという考えは捨てること。そもそもFIREに向けて資産が増えていると、奨学金の審査に通らないこともあります(奨学金の種類による)。子どもの将来を第一に考え、教育費の準備とFIRE資産づくりの両立を図るようにしてください。

児童手当は全額貯めておこう

中学校修了までの児童1人に対して月額1万円~1万5000円が受け取れる児童手当をすべて貯めると、約200万円になります。このお金には手をつけず、子どもの大学資金として確保しましょう。

Q.FIREするデメリットや注意点はありますか?(30代・独身・会社員)

A.いくつかありますが、FIREそのものが目的にならないよう準備をする必要があります。

FIREで想定されるデメリット

(1)FIREまで節約し続けて、さらにFIRE後もその生活が続く
(2)仕事のコミュニティ喪失。キャリアが途切れることも
(3)やりたいことが明確でなければすぐ暇になる

FIRE前から準備をしておく5つのこと

(1)目標設定:FIREして何をしたいのか具体的に考える
(2)どう働くか:サイドFIREの場合、どのように働くか考える
(3)スキル磨き:好きな仕事をしたいなら必要なスキルを磨いておく
(4)趣味の人脈:趣味などでコミュニティの幅を広げておく
(5)仕事の人脈:独立などを考えているなら仕事の人脈も広げておく

FIREはゴールではなく単なる手段と認識する

FIREというのは、あくまで経済的自立と早期リタイアを実現するための「手段」であり、FIRE自体は目的(ゴール)ではありません。そこを取り違えないことが大切です。
たとえば、FIREのために極端な節約や長時間残業を続け、友人との付き合いも避け、やっとFIREできるお金をつくり出したとします。確かに働かずに暮らせる自由は手に入れたかもしれませんが、それで人生満足と思えるでしょうか。もしかしたら、失った時間を後悔することになるかもしれません。

また、「4%ルール」で生活するため、FIREした後も贅沢はできず、節約生活が続きます。そう考えると、多少の支出をして今の人生を楽しむことも必要でしょう。そして、スキルを磨いたり、人脈を広げたりしておくことが、FIRE後の豊かな人生につながっていくのだと思います。

Q. もう50代、FIREはもう不可能?(50代・既婚・夫:会社員、妻:パート)

A. 「65歳以降働かないでいい」というのも、一種のFIREです。

老後がちょっと楽になる そんなプチFIREを目指そう

50代になると、だいぶ定年退職が近づいてきます。「自分はもうFIREには関係ない年齢」と思うかもしれませんが、仮に5年前倒しで定年を迎えられるだけでも、気持ち的にかなり違いませんか?

リタイアの時期ではなく、経済的自立に軸足を置くのも1つの方法です。
65歳以降、お金の不安なく過ごせるだけでもメリットは大きいでしょう。また、共働き夫婦であれば、夫だけ、あるいは妻だけがFIRE(リタイア)する方法もあります。

老後は長く、65 歳でリタイアしても、その後20年以上も老後生活が続くのです。65 歳でリタイアできれば、十分FIRE達成ともいえます。

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