「今こそ核廃絶訴えよう」ICAN川崎氏が講演 ウクライナ侵攻巡り

「今こそ核廃絶にかじを切らねば」と語る川崎氏=長崎市松が枝町、ナガサキピースミュージアム

 核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)の国際運営委員、川崎哲氏が3日、長崎市内で講演した。ロシアが核使用を示唆してウクライナ侵攻を続けている現状について「長崎に次ぐ被爆地が出るかもしれない」と危機感を示し、「今こそ核兵器をなくそうと言わねばならない」と訴えた。
 川崎氏は「核保有国が(核兵器を)脅しの力として人殺しを進めている。もはやこの戦争において核兵器は使われている(と言える)。抑止のための手段ではない」と指摘。今こそ核廃絶にかじを切らねばならないと述べた。
 日本政府に対しては、6月の核兵器禁止条約第1回締約国会議のオブザーバー参加を求めた。安全保障のため国内に米国の核兵器を持ち込む「核共有」政策については軍拡競争を招くと批判した。
 ウクライナ侵攻の背景について、ロシアが旧ソ連のウクライナを改めて支配しようとする「南北の問題」と、東西冷戦の構図を引き継いだロシアと北大西洋条約機構(NATO)の対立、「東西の問題」があると分析。「国家の勝ち負けの前に人々の暮らしを考えないといけない」と語った。
 同市内で開催中の写真展「ウクライナに笑顔を!」の一環としてICANサポート・ナガサキが主催。市民約50人が耳を傾けた。


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