長崎新聞の情報窓口「ナガサキポスト」(ナガポス)と佐賀新聞の双方向報道「こちら さがS編集局」(こちさが)のLINE(ライン)に、読者が切り取った多彩な「春」の写真が寄せられた。満開の桜に心弾む子どもたち、代々伝わるひな人形、厳寒の平成新山を背に咲き誇る河津桜…。春が運んできた小さな幸せを楽しむ人々の日常と動物たちを紹介する。(嘉村友里恵)
♬ 花見でわが子の成長実感/平山美由紀さん(35)=長崎市=
桜並木の下、仲良く並ぶ三つのランドセルが春の日差しに輝いた。長崎市の会社員、平山美由紀さん(35)は3月下旬、西海市西彼町白崎郷の四本堂公園に家族で花見に出掛け、子どもたちをカメラに収めた。
悠花さん(10)、美桜さん(9)、太陽君(7)は小学生の3きょうだい。休日のピクニックにランドセルで出掛けたのには、理由がある。美由紀さんの93歳の祖母、中村叶枝さんに、ひ孫たちの成長を見てほしかったからだ。
四本堂公園でのお花見は、数年前からの祖母との恒例行事。高齢と新型コロナ禍で、外出する機会が減った祖母に、楽しい時間を過ごしてほしいというささやかなプレゼントだ。
公園内を探検隊気分で歩き回る子どもたちを見ながら、叶枝さんは「今年も来られてよかった」と喜んだ。美由紀さんも、ファインダー越しにわが子の成長を実感したという。「あと何年、一緒に花見に来てくれるかなあ」。そう思うと、1枚1枚がいとおしい。今年も特別な春になった。(六倉大輔)
♬ 伯母から母、そして私へ/宇佐美真紀子さん(55)=佐賀県鳥栖市=
佐賀県鳥栖市で書道教室を開いている宇佐美真紀子さん(55)は、ひな人形の写真を投稿した。「この辺りでは旧暦で桃の節句を行う家庭も多く、うちも4月3日までは出しておく。その方が季節の雰囲気にも合う気がして」とほほ笑む。
古風でお気に入りの人形は、今は亡き伯母の物だったという。娘のいなかった伯母から、宇佐美さんを生んだ母の手に渡り、さらに28年前、娘を出産した宇佐美さんの元にやって来た。
かつては金の御殿付きだったが、1953(昭和28)年の水害で流されてしまったと伝え聞く。「約90年前から、戦争や大水を乗り越え、あちこち傷みながらもりんとしたたたずまいは変わらない。これからも家族の平和な日々を見守ってほしい」と願いを託す。今年、娘が出産を控えている。今回は男の子のようだが、もしこの先、女の子が生まれたら、娘の元にと思っている。(佐賀新聞・志垣直哉)