医療的ケア児の出口大空君 人工呼吸器装着で通学へ 長崎県内特別支援学校で初

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入学式で着用する服装の大空君(中央)と家族=長崎市内の自宅

 人工呼吸器を装着した子どもが初めて長崎県内の特別支援学校に通学する。2年前に本紙連載で取り上げた出口大空君(6)=長崎市=。11日、県立長崎特別支援学校小学部(同市)に入学する。染色体異常症「18トリソミー」のため医療的なケアが日常的に必要だが、教員が自宅に赴く訪問教育ではなく、福祉タクシーで通う。
 18トリソミーは通常2本しかない18番目の染色体が3本あり、3500~8500人に1人の割合で生まれる。心臓や呼吸器系などの合併症のほか重い発達の遅れや難聴などの症状もみられ、「短命」とされる。
 大空君は生後3カ月半で長崎大学病院を退院した後も、入退院を繰り返してきた。大空君の母親光都子(みつこ)さん(49)は「以前は小学校入学は想像していなかったのでうれしい。周りにいる人工呼吸器の子どもたちのためにも大空が道を作っていけたら」と話す。
 光都子さんは昨年7月、訪問教育ではなく通学を希望すると長崎市教委に伝達。「デイサービスに通っていたので、お友だちや先生と楽しく触れ合う機会を継続させ、成長につなげたかった」という。
 その際、登校時の移動支援も要望。自宅から学校まで車で約1時間。光都子さんが運転中、同乗の大空君が嘔吐(おうと)した場合、停車して迅速に吸引をしなければ命にかかわる。さらに登校前には大空君をベッドからバギー(子ども用車いす)に座らせ、人工呼吸器や酸素ボンベなどケアに必要な物品をいくつも車に積み込む作業もある。
 市教委と県教委の担当者が、自宅からデイサービスへの出発準備や施設での大空君の様子を見学。関係者が話し合いを重ね、福祉タクシーでの通学が決まった。費用は、支給される就学奨励費(公費)を充てる。当面、通学は週1回から始める。光都子さんがタクシーに同乗し、大空君の状態を見守る。
 光都子さんは「大空の1年は私たちの1年と異なる。1年後は通学できない状態になっているかもしれない」と話し、今回通学を実現してくれた関係者に感謝する。実際、昨年から、てんかんの発作がひどくなり、年明けには1カ月入院して治療。以前はできていたあおむけから横向きになる動作が難しいという。
 県教委は今年2月、人工呼吸器使用の子どもの学校生活に関するガイドラインを作成しており、担当者は「主治医と連携しながら大空君が安全に学校生活を送れるよう努めたい」と話す。
 通学手段について光都子さんは「希望を言えば、医療的ケア児の専用車に子どもが数人乗って、看護師が付き添いをしてくれればいい」と願い、「そうなれば家族は休息でき、仕事にも復帰できる」と言う。
 医療的ケア児とその家族を支援する法律は昨年9月施行。国や自治体はケアが必要な子どもへの教育体制の拡充を図り、学校設置者は親の付き添いなしでも適切なケアが受けられるようにする、と規定している。