全国大会で7回途中無失点 ポニー中3投手が憧れの明大右腕から教わった武器

千葉ジャガーズの長谷部圭祐くん【写真:川村虎大】

ポニーリーグ全日本選抜、千葉ジャガーズを初戦突破に導いた長谷部くんの好投

雨が降りしきる南国の地で、小さな右腕が躍動した。3月26日に沖縄県で開幕したポニーリーグ「日本旅行カップ 第6回全日本選抜中学硬式野球大会」。大会初日、コザしんきんスタジアムの第1試合では、ポニー千葉ジャガーズが1-0でポニー久留米ボーイズに勝利した。先発した長谷部圭祐くん(3年)が6回2/3を3安打無失点に抑え、チームの完封勝利に貢献。チームに貴重な勝利をもたらした。

“省エネ投球”で自己最長イニングを投げきった。初回こそ18球を要したが、2回以降はテンポよくアウトを重ね、4回はわずか3球で3アウト。他方で久留米の先発・橋本蒼一くんも好投し、打線は5回2死まで無安打に抑え込まれていた。

手に汗握る投手戦も「コースに投げることだけ」と意識せず。走者を背負った場面では好守に助けられ、「守備、サイコーです」と笑顔。1点を先制した直後の7回2死で投球数制限の75球に到達してマウンドを下りた。「大舞台で緊張したが、4回が終わってから緊張が解けてしっかり投げられた」と手応えは十分。全国大会で見せた好投の裏には、あるきっかけがあったという。

明大・渡部翔太郎【写真:中戸川知世】

憧れの明大・渡部から教わったカーブで久留米打線を翻弄

長谷部くんには憧れの選手がいる。「プロも凄いですけど……」と前置きした上で挙げたのは、明大の4年・渡部翔太郎投手だ。最速150キロの直球とツーシームを軸に、大きく曲がるカーブで緩急差のある投球が武器。東京六大学リーグでは2年春からリリーフで登板。昨春のリーグ戦では6試合で防御率3.38の好成績を収めた期待の右腕だ。

長谷部くんの兄と渡部は千葉黎明高の同級生。7年前に兄の試合を見に行った際、マウンドで躍動する渡部を見て「風格があってテンポが良い投球」と衝撃を受け、憧れを持つようになった。

兄の計らいもあり、渡部が明大進学後も帰省した際に、たびたび直接指導を受ける機会に恵まれた。昨年11月に教わったのは、カーブの握り方。「曲がり幅も大きくなって、いつでもカウントを取れるようになりました」。もともと投げていた球種だが、キレ、制球ともに改善され、自らの武器になった。

この日も、その決め球で久留米打線を抑え込んだ。直球の最速は110キロほどだが、80キロ台のカーブで緩急をつけ、凡打の山を築いた。松本範夫監督も「遅い変化球でカウントが取れるようになったのが大きい」と成長を実感する。

千葉ジャガーズは今年で創部50年。夏の全国大会は9度の優勝を誇る。「日本一になりたい」。自らのピッチングでチームの節目に華を添えることを誓った。(川村虎大 / Kodai Kawamura)

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