ルーキー

 味方の投手が初回から1人も走者を出さずに迎えた最終回の守備。こう願った野手はいなかっただろうか。「自分の所に飛んでこないで」。そんな弱気ではプロ野球選手など務まらないか…。いや、プロだって人の子▲と、バカバカしい想像はともかく、そうは言っていられないのが捕手。ロッテの佐々木朗希投手が完全試合を達成した日曜日のゲーム、マスクをかぶったのは松川虎生(こう)選手。2003年10月生まれの18歳は、高校を卒業したばかりのピカピカのルーキー▲160キロ超の快速球と150キロに迫る高速フォークボールが自分を目がけて飛んでくる。逸(そ)らさずに受け止めるだけでも大変そうだが、もちろん怖がっている場合ではない。しかも、そこから先が捕手の仕事。経験や蓄積も大切なポジションだ▲27人目の打者にはフォークを3球続けた。暴投やパスボールが心配な球種でもある。大丈夫っすよ。「松川を信じて投げました」と佐々木投手。配球への信頼と捕球技術への信頼が快挙を支えた▲ロッテは昨夜、長崎でソフトバンク戦に臨んだ。日曜の勢いをそのままに3投手の完封リレーで快勝▲松川選手は先発を外れ、交代での出番もなかった。残念。ベンチから戦況を見つめる時間も貴重な経験か。それとも試合に出たくてうずうずしていたか。(智)


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