ろくろ成形、磨き続け21年 波佐見焼「生地職人」 太田祐子さん(45) ふるさとの匠

熟練した技術で均一な器を次々と成形していく太田さん=波佐見町「アトリエ ビスク」

 400年以上の歴史を持つ波佐見焼。その分業制を支える過程の一つに「生地屋」と呼ばれる職業がある。窯元から依頼を受け、ろくろで陶土を成形。熟練した職人の技から、精巧で均一な器が次々と生まれてくる。
 長崎県東彼波佐見町で「生地工房アトリエ ビスク」を営む伝統工芸士の太田祐子さん(45)。県内で女性初の陶磁器製造1級技能士の資格を持つ。
 京都府出身。大学卒業後、「物づくり」の夢を模索しながら波佐見に移住。「一人で仕事に没頭することが自分には合っている」と、生地職人の道に進んだ。同町の伝統工芸士を育てる教室で、ろくろ師の故中村平三さんに師事した。
 「やればやるほど上達する。続けることで達成感も味わえる」と、ろくろ技術を磨き続けて21年。「10代のころから手に職をつけたいとの思いがかなった」と笑顔で話す。
 時代の変化と高齢化で生地職人が減少していく中、交流サイト(SNS)で作品を紹介するなど波佐見焼の魅力を発信。「自分が作った磁器がお客さんに喜んでもらえることがうれしい」とほほ笑む。地元職人の中ではまだ若手。「生涯現役。将来的には教室を開き技術を継承していきたい」と焼き物の里でろくろを回し続ける。


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