「小浜温泉ワイナリー」始動1年 県産3商品を販売 今秋“小浜産”醸造へ

「雲仙みかんワイン」の発酵具合を確認する川島さん=雲仙市小浜町、小浜温泉ワイナリー醸造所

 長崎県雲仙市小浜町出身でワインのシニアソムリエ、川島貴宏さん(45)が同町にUターンして起業したワイン醸造会社「小浜温泉ワイナリー」は昨年2月の本格始動から1年が過ぎた。「小浜産ワインで地元を盛り上げたい」とブドウを苗木から育てつつ、まずは県内産のミカンとブドウを仕入れて3種類のワインを製造した。うち2種類を、18日開業の「イオン島原ショッピングセンター」(島原市)で販売する。
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 販売するワインは「雲仙みかんワイン」(500ミリリットル、税別1500円)「巨峰」(750ミリリットル、同2200円)。
 川島さんは国内や本場イタリアで料理の腕を磨き、27歳で日本ソムリエ協会認定の上位資格「シニア」を取得。ワイン醸造も学んで2020年4月に帰郷した。耕作放棄地にブドウの木を植え、11月に会社を設立。21年2月から苗木のオーナー会員を募って資金を集め本格始動した。会員は現在約100人。
 まずは雲仙市瑞穂町産のミカンを仕入れ、福岡県のワイナリーに醸造を委託した商品「雲仙みかんワイン」を21年4月にお披露目した。9月に自社の醸造設備を整え、島原市産のデラウェア(ブドウ)と、西彼時津町産の巨峰を買い付けて会員と一緒に手搾りし、それぞれ商品化。11月には南島原市産のミカンを自社で醸造し、みかんワインを追加生産した。いずれも少量ながら、雲仙市内のイベントや長崎市の出島メッセ開業イベントなどで販売した。

小浜温泉ワイナリーが製造した3種類のワイン

 会員にはワインを返礼品として届けている。川島さんは1年を振り返り「会員の協力で3種類そろえることができ、順調なスタートを切ることができた」と感謝を口にする。現在は小浜町内の耕作放棄地6カ所を耕し、7種類計約1900本のブドウの木を栽培。日中はブドウ畑の管理や醸造の準備に追われながら、夕方からは自身のイタリア料理店で腕を奮っている。
 ブドウの木はまだ生育半ばだが、今秋には状態の良いものを選別して収穫する予定。川島さんは「醸造できる量はわずかだと思うが、正真正銘の小浜産ワインの提供を始めたい」と意気込んでいる。


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