働き盛りでの発症が多い難病「特発性大腿骨頭壊死症」になったら社会保障はどうなる?

お笑いタレントの千原ジュニアさんが、自身のYouTubeチャンネルで「特発性大腿骨頭壊死症」にかかり、人工股関節置換手術のため入院していたことを明かしました。タレントの堀ちえみさんや芸能活動を休止している俳優の坂口憲二さん、歌手の美空ひばりさんらも同じ病気になったことを公表しています。

難病情報センターによると、日本国内では1年間に2,000~3,000人が新たに診断され、30~50歳代の働き盛りの年代に発症が多い傾向があるそうです。血流の低下により、大腿骨頭の一部が壊死した状態で、発症の原因も十分には解明されていないのが現状です。

もし「特発性大腿骨頭壊死症」を患って社会保証を受ける場合、どんな点に注意が必要なのでしょうか。


「初診日」と「障害認定日」

障害年金をもらうために、注意すべき日があります。「初診日」と「障害認定日」です。それぞれについて説明します。

初診日とは、最初に医師の診察を受けた日のことを指します。例えその病気の専門医ではなく、その後転院したり、病名が確定していなかったり、誤診であっても、その日が初診日となります。初診日の前々日の年金の納付状況と被保険者種類が、その後に障害年金を受けられるかどうかの判断ポイントになります。初診日の前々日までの保険料の納付状況によっては、障害年金が受けられない可能性もあります。

もう一方の障害認定日は、原則として初診日から1年6ヵ月経過した日となります。障害認定日の状態によって障害年金がもらえるかどうか判断されます。しかし、人工股関節や人工骨頭に置換手術をした場合は、初診日から1年6ヵ月経過していなくても障害認定日の特例により、手術した日が障害認定日となります。

手術した日が初診日から起算して1年6ヵ月を超えていた場合は、原則通り1年6ヵ月を経過した日が障害認定日となり、その段階での状態によって判定されます。障害認定日の頃はそれほど症状が悪くなく、手術の必要も無くても、その後に人工股関節や人工骨頭に置換手術をすれば、その日が事後重症として判定されます。

障害基礎年金と障害厚生年金の種類

国民年金に加入中(1号被保険者)の場合は、障害基礎年金1級・2級のみです。厚生年金に加入中(2号被保険者)の場合は、障害厚生年金1級・2級・3級・障害手当金がもらえる可能性が有ります。1級と2級の場合は障害基礎年金と障害厚生年金がもらえます。人工股関節の手術を受け成功すれば厚生年金の3級に、また手術が適合せず日常生活に活動に支障が残る場合は、2級以上に認定される可能性もあります。

障害年金は人工股関節等のように手術の結果、厚生年金3級と判定されることもありますが、その他の疾患の場合は日常生活や仕事にどれだけの影響があるかによって認定されます。それぞれの部位や症状によって認定基準が定められているため、認定基準が当てはまるかどうか判断して請求する必要があります。

なお、障害年金とよく似た制度に「身体障害者手帳」が有ります。これらは所管や目的が違う為に、審査基準等が異なっています。人工骨頭や人工関節を挿入したものは、障害厚生年金では原則3級ですが、身体障害者手帳の場合は2014年4月までは原則4級でした。最近は技術が進歩したため、日常生活能力が改善されてきたので、2014年4月からは等級判定が見直され、新規に人工関節置換術を受けただけでは、身体障害者手帳をもらえないケースも増えてきたようです。


人工関節置換術を実施するにせよ、何らかの理由で手術が実施できなくても、実際に日常生活等に不便が出てくれば、障害年金や身体障害者手帳をもらえる可能性が有ります。日常生活等に支障の状態によっては上位級に判定される可能性もあります。

しかし、どちらも自ら請求しなければもらえる可能性さえありません。日常生活等に不便を感じている人は、障害年金を検討してみてはいかがでしょうか。

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